Z世代に流行語「はにゃ?」を広めた、丸山礼の“井上千晶シリーズ”とは?
「はにゃ?」という言葉が、JC・JK流行語大賞2021上半期のコトバ部門および、女子大生・女子高生トレンドランキング2021年上半期言葉部門で1位にランクインしている。実際にここ1年の間に、「はにゃ?」という言葉をYouTubeはじめSNS等で使われているのを、よく見かけるようになった。この「はにゃ?」という言葉は、丸山礼の“井上千晶シリーズ”というYouTubeに投稿されているコント動画をきっかけに広まったことをご存知だろうか。
そもそも「はにゃ?」とは、「あれ?」の進化系のような言葉で主に疑問を感じた時に使用するそう。広まったきっかけは丸山礼の動画だが、「はにゃ?」という言葉は、以前から存在していた(参考:PR TIMES)。1983年から1989年までNHKにて放送されていた「おーい!はに丸」という幼児番組に登場するキャラクター、はに丸くんも「はにゃ?」とよく喋っていた(参考:NHK放送史 おーい!はに丸)。また、ドラマ『マイ☆ボスマイ☆ヒーロー』というで、長瀬智也演じる榊真喜男も現在流行している「はにゃ?」と同じような意味で使っているシーンがある。Z世代に広めたのは丸山礼だが、昭和時代から「はにゃ?」という言葉は存在していたようだ。
丸山礼が井上千晶シリーズで「はにゃ?」という言葉を使っているのは、中学生の時のエピソードがきっかけだと、自身のYouTubeチャンネルやtwitterで発信している。連絡網で回ってきた電話の言葉を友達が聞き取れず「はにゃ?」と言ったそう。その言葉が面白く、友達とお腹がちぎれるほど笑い、いつかどこかで使えたらと心に留めていたようだ。
井上千晶シリーズは、丸山礼が投稿する動画の中でも人気のシリーズ。このコントの登場人物は、丸山礼演じる井上千晶と土佐兄弟の有輝が演じる黒川健のふたり。土佐兄弟の有輝が出演していない動画でも、黒川健の名前が登場する。
井上千晶シリーズが視聴者に人気なのは、なにより「こういう人いるよね」という共感からくるものだろう。口癖である「はにゃ?」を多用するなど、特徴的な話し方とオーバーなリアクションが、共感を集めている理由のひとつ。今どき女子に憧れてバナナケーキを作るが、失敗してしまうような不器用なところも井上千晶の特徴だ。
思いを寄せているであろう黒川健とデートの日、井上千晶は不器用ながら気合をいれてメイクをし、ラッキーアイテムである花柄のワンピースを身に付けていたにも関わらず、スクールバックを肩にかけ、食パンをくわえてでかけるという絶妙なセンスも、人気を獲得している要因だろう。彼女のTwitterでは、「普段から会ったり知った方々の面白いところをメモして真似させてもらっている」と発信している。実在する人物を参考にし、その面白い部分を切り貼りしたキャラクターにすることで、多少現実離れはしつつも、共感を集める“再現度の高いコント”になっているようだ。
「はにゃ?」の流行のきっかけにもなった井上千晶シリーズの動画だが、2020年9月10日を最後に動画投稿が止まっている。テレビやファッションブランドのプロデューサーとしての仕事も忙しいのだろうが、「はにゃ?」がJC・JK流行語大賞や女子大生・女子高生トレンドランキングの1位を獲得したいま、井上千晶の「はにゃ?」を待っているファンも少なくない。不器用で全力な井上千晶と、井上千晶に振り回される黒川健の、新たな一面が見れることを楽しみにしている。