東京オリンピック陸上競技に導入された、最新テクノロジー「3DAT」って?

 7月23日に東京オリンピックが開幕し、現在種目ごとに白熱した試合が展開されている。今回は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、残念ながら自宅のテレビでの観戦となってしまったが、試合中継には試合をより盛り上げるためのある仕掛けが組まれているのをご存知だろうか。

 その仕掛けのカギを握るのは、近年の産業を下支えするAIだ。陸上競技選手としてこれまでオリンピックに2度出場し、金メダルを獲得した米国オレゴン州ポートランド出身のアシュトン・イートン氏。ロンドン、リオデジャネイロに続く東京オリンピックでは、インテルの一社員として最速の短距離走者がもたらす感動を視聴者にお届けすべく、同僚とともにテクノロジーの限界に挑んだ。

 前回のリオデジャネイロオリンピックから現在に至るまでの間に起こった世界を巻き込む出来事として、コロナ禍以外にAI革命が挙げられる。そんななか、国際オリンピック委員会(IOC)は東京オリンピックの潜在的な観客が50億人を上回るとともに、テレビ中継やラジオ、デジタル放送を含む放送コンテンツがリオデジャネイロオリンピック比で30パーセント増になることを見据えたうえで、「TOKYO 2020 Share the Passion」プロジェクトの一環としてファンエンゲージメント獲得に繋がる新時代のツールを生み出すことを表明。インテルはIOCのその方針に合意のうえで、協働に乗り出たスポンサー企業のひとつである。

 イートン氏とともに挑んだインテルの研究開発グループは皆、パラリンピック、世界陸上、プロバスケットボールの経験者というアスリート揃いだ。それぞれがアスリートとしての経験値を活かすかたちで、新レベルの試合を体験できるプラットフォームを目指し、「3Dアスリートトラッキング(3DAT)」と呼ばれるシステムの開発に専念した。

 「3DAT」は多くのアスリートによる運動時の仕草や習性を学習済みのAIやコンピュータビジョンを搭載しており、身体部位22ヶ所の動きを正確に追跡。iPhoneやGoProを通じて動画データを取り込むだけで、人間の骨格を映し出したデジタル画像が生成される仕組みとなっている。速度や身体の傾斜角、歩幅はアスリートによって異なるため、多少の誤差はあるものの、通常数秒単位でデータ処理を実行可能。もちろん、選手自身が特殊なスーツを身に纏ったり、センサーを装着する必要もない。

 元々は東京オリンピックのテレビ視聴者向けに開発されたもので、米国のテレビニュース「NBC」に起用された結果、オレゴン州ユージンで開催された東京オリンピック米国代表選考会では陸上競技の放送の際に初めて使用された。今大会から離れたところではすでにアマ・プロを問わずフットボールチームのトレーニングにも採用されており、口コミにより反響を呼んでいる。将来的にはフットボールに限らず、ゴルフやテニスのスイングの改善といった、他のスポーツへの応用の面で大いに期待される。

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