Apple Musicの空間オーディオ&ロスレス音源対応は「第二次音楽ストリーミング戦争」の号砲か?

 最後に、この「第二次音楽ストリーミング戦争」の行方について、ジェイ氏はこう予測する。

「現在は、Spotify・Apple・Amazon・Google(YouTube)の4社が音楽ストリーミング市場をリードしています。そして今後各社は消費者に対して、どれだけ音楽以外のサービスオプションを増やせるか、といった所で勝負してくるかと思います。例えばSpotifyやAmazon Musicのポッドキャスト・コンテンツを強化する戦略は一例に過ぎません。「音楽が無制限で聴ける」という決まり文句は通用しなくなっていくでしょう。オプションを増やすために、企業買収も進むはずです。今後、買収ターゲットになりそうなのは、Clubhouseのような音声のライブ配信や、ソーシャル機能付きの音声プラットフォーム、ポッドキャスト・メディアやプラットフォームではないでしょうか。

 また今後は、音楽サービスも映像配信との連携が重要になっていくと考えられます。4社の中で映像配信といえば、AmazonのTwitchや、GoogleのYouTubeが代表格かと思われますが、AppleにはtvOSやApple TV+といったコンテンツ配信の技術が世界中ですでに使われていますし、iPhoneのiMessageやFaceTimeのメッセンジャーアプリでも最近は動画機能を充実させています。一方で、Spotifyは音声プラットフォームとしては巨大ですが、映像コンテンツや動画配信がありません。音声や動画コンテンツ増加の流れに対して今後2〜3年でどのような対策を取ってくるのか、注目していきたいと思います」

 音楽ストリーミングサービスの爆発的な普及を経て、各社による新たな競争がスタートした世界の音楽シーン。この大きなうねりは、いずれNetflixをはじめとした映像ストリーミング業界にも波及・合流するのかもしれない。

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