iPhoneでAndroidのワイヤレスイヤホンを使うメリットはあるのか?

「Galaxy Buds Pro」はノイズキャンセルも利用可能で十分選択肢にあり!?

 続いてテストしたのがiPhoneとサムスン「Galaxy Buds Pro」の組み合わせ。「Galaxy Buds Pro」はノイズキャンセル対応で21,780円なので、価格は安めだがAirPods Proに対抗するモデルだ。耳へのフィットは一般的なカナル型で、密閉感がやや強いタイプ。IPX7の防水にも対応というのはAirPods Proにないメリット。イヤホン本体の連続再生時間は約5時間(ノイズキャンセルオン時)。

iPhone12 Proと「Galaxy Buds Pro」

 「Galaxy Buds Pro」とGalaxyの接続では簡単なペアリングを利用できるが、iPhone接続時はケースの蓋を開いた状態にしておき、手動でBluetoothの設定画面からタップ。Bluetoothのイヤホンなので音楽リスニングや通話に向けた機能は、きちんと互換性がある。

 さっそく「GalaxyBuds Pro」とiPhoneで音楽リスニングしてみると、音質は強烈に重低音をズンズンと効かせたクラブチューン。中高域の歌声もシャープ立てせて効かせたメリハリ重視で、ナチュラル志向のAirPodsシリーズとは違った方向性のサウンドだ。

 特に「Galaxy Buds Pro」のノイズキャンセルはとても優秀で、イヤホンとして耳を遮音した上で周囲の騒音を低減するので、エアコンの動作音や、街中のガヤガヤとじた雑踏、電車の走行音までしっかり低減。ノイズキャンセル効果はAirPods Proよりも強力だ。

 イヤホン本体のタッチセンサーによる本体操作も、タップで曲の再生/停止、曲送りなども可能(ちなみに、デフォルトに音量操作はなし)。そして、「Galaxy Buds Pro」の”インテリジェントANC(アクティブノイズキャンセリング)”も利用可能だ。

重低音重視のサウンドでノイズキャンセルも強力

 音楽もしっかり聴けてノイキャンも優秀ならiPhoneで使ってもいいのでは!? と思う所だが、「Galaxy Buds Pro」をAndroidスマホと組み合わせることで”Galaxy Wearable”のアプリを通して様々な機能が利用可能になる。ノイズキャンセルは効果の強さを高/小で選べるし、音質EQも5パターンあるし、タップ操作もカスタマイズして音量操作やSpotify呼び出し等も可能。残念ながら旧世代まで提供されていた"Galaxy Buds"のiOSアプリは用意されていないようだ。

Androidスマホなら”Galaxy Wearable”で様々なカスタマイズが可能

 「Galaxy Buds Pro」はiPhoneでも基本機能は使えるし、ノイズキャンセルも強力。そう考えると「Galaxy Buds Pro」はかなり実用性があるのだが、アプリ側の機能を見ると、あえてiPhoneで「Galaxy Buds Pro」を使うのは勿体ないと思えてしまうのが、何とも残念なところ。

「Pixel Buds」「Galaxy Buds Pro」も利用可能だが、使えない機能をどう考えるか

 iPhoneと組み合わせて「Pixel Buds」「GalaxyBuds Pro」を試して分かったのは、標準化されているBluetoothで接続するのでiPhoneユーザーでも音楽リスニングやノイズキャンセル等は働くことから、基本的に実用性のあるレベルで使える。

 ただ、現在の完全ワイヤレスイヤホンのトップランナーが挑む領域はもっと先。「Pixel Buds」はAndroidスマホと密に連携するイヤホン体験、「GalaxyBuds Pro」はアプリを通したカスタマイズ性も自慢で、そこをスッパリ切り捨てるのは正直惜しい。純正アプリを利用できないと、ファームウェアアップデートによる新機能の追加、不具合の修正をどうするかという問題も出てくる。これは、Androidユーザーが「AirPods Pro」を所有していても”3Dオーディオ”を活用できない事をどう捉えるか、に近いかもしれない。

 そこで“別に気にしないよ”と言えるなら、あるいはもっと別のデザインや装着感を重視しているなら、iPhoneユーザーがAndroid系イヤホンを購入するのも大いにアリだろう。

■折原一也
1979年生まれのオーディオ・ビジュアルライター/AV評論家。映像と音に関連するガジェットが専門で、モノ雑誌や専門誌、Webなどで実機レビュー記事を多数執筆。VGP審査員

関連記事