TikTokとテレビは似ている? TikTok×『news zero』制作陣と考える「ニュースを動画で伝える」意味

 ショートムービープラットフォーム『TikTok(ティックトック)』は、日本テレビ『news zero』とタッグを組み、2月1日からTikTokオリジナルコンテンツの配信をスタートしている。

 独立したニュース番組がTikTok公式アカウントを開設するのはこれが日本初の取り組み。初回投稿動画はいきなり170万回の再生を記録するなど、早くも若い世代へニュースを伝える新たな方法であることを予感させている。今回は『news zero』統括プロデューサーである日本テレビの井上幸昌氏と演出を手がける那須太輔氏、TikTok Japanの島田健次氏と高橋俊哉氏を取材し、ニュース番組がTikTokを始める意義や、反響のあった動画、テレビ側の人間がTikTokについて思うことなどについて考えてもらった。(編集部)

「テレビを観ない世代の人たち」にニュースを伝えるために

――まずは井上さんと那須さんに、TikTokというプラットフォームに対して思っていることをお伺いできればと思います。

那須:僕はこれまでSNSをやってこなかったのですが、イメージとしては「若い人が見るもの」であり、「テレビを観ない世代の人たちがやっているもの」という認識でした。プラットフォームとしてライバル的に認識しているというのはなかったです。地上波のニュース番組において『news zero』は比較的若い方に観られているのですが、次の展開として「テレビを観ない世代の人たち」にどうやってアプローチしていくことができるかと考えていたなかで、TikTokを強く意識しているところはありました。

『news zero』演出・那須太輔氏

井上:おかげさまで多くの方に観ていただいているのですが、それでも『news zero』という番組自体を知らない人もいますし、テレビが家にない人も増えているなかで「ニュース番組って面白いんだよ」「自分たちと関係ない堅苦しいことばっかりじゃなくて、『じぶんごと』になる問題を扱ったニュース番組もあるんだよ」ということを若い人たちにお知らせする手段がほしいなと思っていました。Twitterなどはすでに運用しているのですが、もう少しダイレクトに届けるツールを考えたときに、TikTokさんの名前は浮かんでいました。

『news zero』統括プロデューサー・井上幸昌氏

――TikTokの持つ「映像を短尺で伝える」という表現形態については、どのように感じていましたか?

那須:僕はテレビと全く違うと思っていないんです。テレビ番組を作るときも、結局いろんな言葉を削ぎ落して短い尺で伝えたいことを明確にしているので。2年前まではバラエティ番組を18年間担当していたんですが、『嵐にしやがれ』で相葉雅紀さんと丸一日かけて富士山に登って素材を撮って、それを放送用に8分にする、みたいなことをやっちゃうわけですから、共通しているところはあるのかなと。ただ、最近になって思うのは、テレビというのは削ぎ落とした上で最低限「わかるように」しているんですが、TikTokはあんまり理解されなくても、スピード感があれば見られるような気がするんです。そのスピード感は、テレビにはないものなのかなと。

――逆にTikTokチームの島田さんと高橋さんは『news zero』というニュース番組をどう捉えているのでしょうか。

島田:『news zero』さんのように日本を代表する報道番組がSNSを上手に使ったり、直近でも『Update the world』というチャレンジングな企画を展開されていたりするのは、すごいことだなと思っています。日テレさんとは、過去に『ラグビーワールドカップ』や『まなびウィーク』などでご一緒させていただいたくなかで、良い化学反応を起こせる土壌が整っていたからこそ、今回のようなお取り組みができたのかなと。

TikTok Japanの島田健次氏

――今回の取り組みについては、その前段として「TikTokでニュース」というコンテンツが昨年8月に始まり、成功したことが大きかったのかなと思います。

島田:そうですね。各テレビ局さんや通信社さん、新聞社さんに参画いただき配信したストレートニュースがTikTok内でかなりの反響を呼んだのは間違いなく大きいと思います。そのうえで、ニュースを深掘ったコンテンツ作ると、長期間見られるのだという知見も溜まったんです。ストレートニュースがフロー型のコンテンツだったとすると、ニュースを使ったストック型のコンテンツを作ることが大事になってくるし、エンタメコンテンツだけではないものをユーザーさんに伝えていけるのではないかと思っていました。

高橋:『news zero』さんには「番組で扱っているニュース映像の配信をそのまま流すよりも、ひと手間加えたものを展開していただきたいです」とお願いしました。正直、ショートな尺の動画で物事を100%理解するのは難しいと思っていて。だからこそTikTok上では、50%程度の理解度でいいのかなと考えていて、興味を持ってくれた方が番組を見て、100%まで理解することが、より学びを深めたり情報をキャッチアップするようになるための入り口になるかもしれないと考えています。

TikTok Japanの高橋俊哉氏

――今回の取り組みは1月に発表、2月スタートとなったわけですが、先程のようなお話を経て、どれくらいの準備期間があったのでしょうか。

那須:やろうと決めてから一週間くらいだった気がします。最初は有働(由美子/キャスター)さんでやろうとは決めていました。最初はテレビのPR動画みたいなものを撮ろうと思っていたんですが、ふと「TikTokを見ている若い子って、決められたセリフが流れても反応しないんじゃないか」と思い、こちらも言葉を発しながらラフに撮ることになりました。結果的に僕が「TikTokってどんなイメージですか?」と有働さんに聞いたら「みんな踊ってる」と言うので、NiziUの「Make you happy」を踊ってもらったら、なぜか踊りながら有働さんが「ヘイジュード」と言ってるという動画が撮れました(笑)。

@ntvnewszero

よろしくお願いします。news zero TikTok始めます。

♬ オリジナル楽曲 – news zero

ーーその動画が170万回超の再生を記録。わからないものですね。

那須:そうですね(笑)。「有働さん可愛い」とか「公式でこの画質かよ」みたいなコメントもいただいたりして。みんなツッコミどころを探しているのかなと思いました。ただ、スタートダッシュが良かっただけに、現在進行形で色々試行錯誤しています。