Game Music Works of Revo――作曲家デビューから『ブレイブリーデフォルトII』までの軌跡

 2021年2月26日、スクウェア・エニックスがNinendo Switch用RPG『ブレイブリーデフォルトII』を発売。ニンテンドー3DS用RPGとして発表されたシリーズ第1作『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の音楽を担当したRevoが再びコンポーザーを務め、3月3日にサウンドトラックがリリースされた。メジャーデビュー15周年を迎えた幻想楽団 Sound Horizonのフロントマンとして壮大な物語音楽を展開し続けているRevoのキャリアは、初期のころからゲーム音楽と縁深いものであった。今回は彼のゲーム音楽ワークスに焦点を当て、現在までの軌跡を追っていきたい。

 Sound Horizonは自主制作アルバムの楽曲を中心に構成されたアルバム『Elysion -楽園への前奏曲-』と4th Story CD『Elysion ~楽園幻想物語組曲~』をベルウッドレコードから発売し、メジャーデビューを果たした。

 2006年春、Sound Horizonの〈第2期〉が始動。Revoは新たなスタートを切る。霜月はるか†Revo名義で2006年6月に発売されたマキシシングル『霧の向こうに繋がる世界』は、Sound Horizonと同じく前年にメジャーデビューを果たし、ユニットのインディーズ時代のアルバムにゲスト参加していたシンガーソングライター霜月はるか とのコラボレーション作品。霧に包まれた幻想的な情景を描き出したアコースティック・バラード「Weiß ~幻想への誘い~」(作詞:霜月/作編曲:Revo)と「Schwarz ~そして少女は森の中~」(作詞・編曲:Revo/作曲:霜月)に、ガストから発売されたプレイステーション2用RPG『イリスのアトリエ グランファンタズム』の主題歌「schwarzweiß ~霧の向こうに繋がる世界~」(作詞・作編曲:Revo)を収録。前述の2曲の物語を橋渡しする役割も担った同曲は壮大なコーラスで幕開けするアップテンポのシンフォニック・ロックであり、「一陣の風(ガスト)」「箱庭(アトリエ)」「虹彩(イリス)」のワードを歌詞に散りばめ、タイアップ曲であることを強く意識させる仕上がり。物語性や構成にこだわりを見せるRevoらしい趣向が凝らされている。『スターオーシャン』『ヴァルキリープロファイル』などのコンポーザーにして、ゲーム音楽界の大御所である桜庭統がハモンドオルガンで演奏参加している点も見逃せない(Revoはその後も彼を楽曲やライヴに起用している)。また、ベースの長谷川淳とドラムスの藤本健一(Ken☆Ken)はプログレッシヴ・ロック・バンドGERARDのリズム隊であり、以降、Sound Horizonの主要サポートメンバーとしても活躍してゆく。

 KAORI(織田かおり)、YUUKI(吉田有希)、RIKKI(中野律紀)、REMIの4人のヴォーカリストを迎えた第2期Sound Horizonの初のマキシシングルとして2006年9月に発売された『少年は剣を…』は、アイディアファクトリーから発売されたプレイステーション2用シミュレーションRPG『カオスウォーズ』の主題歌であり、パンフルートの颯爽とした旋律がリードする6拍子のテーマ「終端の王と異世界の騎士 ~The Endia & The Knights~」と、VerX運営のMMOPRG『ベルアイル』のオープニングアクトソングであり、優しく神秘的なアコースティックバラード「神々が愛した楽園 ~Belle Isle~」、そして同年11月にリリースをひかえていたユニットの5th Story CD『Roman』の楽曲「緋色の風車 ~Moulin Rouge~」を収録。2つのゲームタイアップ曲とユニットのオリジナル曲はそれぞれ独立した世界観として提示されているが、〈少年〉と〈剣〉が共通のキーワードであり、楽曲の随所にはページをめくる音が挿入され、さながら一冊の本を紐解くかのような趣向で統一感が生み出されている。「神々が愛した楽園」の歌詞に綴られた〈物語は頁を捲るように紡がれ続ける〉というフレーズが、本盤のもう一つのテーマとして浮かび上がってくるのだ。そしてこのテーマは、2004年3月に発表され、インディーズ時代の最後のアルバムとなった『Chronicle 2nd』とも響き合うものだ。

 

 2012年6月、Sound Horizonのポニーキャニオン移籍第1弾制作発表会の場で、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の音楽をRevoが担当することが明かされた。同作プロデューサーの浅野智也は『Chronicle 2nd』の頃からRevoのファンであり、彼の起用をかねてから熱望していた。そしてRevoも、RPGの音楽を手がけてみたいという想いをかねてから秘めており、ついにスクウェア・エニックスのゲーム音楽という大舞台に立った。同発表会では、Revoが他作品とのコラボレーション(リンク)を展開するプロジェクト Linked Horizonの発足と、同プロジェクトによる『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の楽曲のヴォーカルアレンジやロングヴァージョンなどを収録したマキシシングル『ルクセンダルク小紀行』とフルアルバム『ルクセンダルク大紀行』が同年8月から9月にかけて発売される旨がアナウンスされた。オリジナルヴァージョンより先にアレンジヴァージョンを発表するという展開はなんとも大胆だが、コンセプトメイカーでありアレンジャーとしても定評があるRevoなればこそ取ることができた戦略といえよう。千住明の指揮・編曲による東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏をフィーチャーし、アルバム冒頭を飾った「Theme of the Linked Horizon」は、〈世界を繋げる〉という所信表明のテーマだ。〈然る詩人の言葉借りるなら 白い鴉のように――〉という一節は、長らくRevo、そしてSound Horizonを追いかけてきたファンならばハッとさせられるものがあるだろう。

 

『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』

 2012年10月、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』のソフトとサウンドトラックが発売。王道のド真ん中を突き進むメロディとアレンジをダイナミックに聴かせる、温故知新のサウンドがそこにあった。往年の『ファイナルファンタジー』『ロマンシング サ・ガ』シリーズのサウンドにトリビュートしつつ、Revoがこれまでに培ってきたファンタジックな素養や、シンフォニック/ハード・ロック・サウンドが惜しみなく投入されている。壮麗で力強いメインテーマ「希望へ向う序曲」。ブラスサウンドがリードする「戦いの鐘」。伊藤賢治サウンドに通じる様式美も感じさせる、熱く華麗な疾走曲「彼の者の名は」。それぞれキャラクターをイメージした楽器がリードする「君は僕の希望」(ティン・ホイッスル)、「風の行方」(ヴァイオリン)、「雛鳥」(ソプラノサックス)、「愛の放浪者」(アコーディオン)。そしてそれらのテーマモチーフが盛り込まれた、めくるめくドラマティックな大曲「地平を喰らう蛇」、などなど。〈ゲームの思い出と寄り添えるような音楽〉を第一に目指した、Revoの想いと仕掛けがぎっしりと詰まっている。演奏ではSound Horizonの常連メンバーをはじめ、マーティ・フリードマン(ギター)、西山毅(ギター)、桜庭統(キーボード)、勝又隆一(キーボード)、松本圭司(ピアノ)らが参加。さらに弦一徹ストリングス、エリック宮城チーム、鈴木正則ブラスセクション、高桑英世木管アンサンブル、混声コーラス隊がフレキシブルに投入され、総勢100名に及ぶ大所帯が一大スペクタクルサウンドを豪華絢爛に演出する。