Clubhouseのオマージュアプリ“Crabhouse”誕生秘話 開発者がサービスにかける思い

Clubhouseのオマージュアプリ“Crabhouse”誕生秘話

オマージュするからには徹底的に“こだわり”を入れる

 Crabhouseはシンプルなゲームに見えるが、GAI氏曰く「本家を意識したことで、細かい箇所までこだわって作った」という。

 「本家のオマージュとしてリリースした以上、徹底的にこだわりました。まず、iOSしか当初出さなかったこと(現在はAndorid版もリリース済み)。また、ランダムで出てくるカニの吹き出しメッセージもClubhouseが音声SNSなので、『カニもしゃべったら面白いのでは』という発想から来ています。最初は38パターンの吹き出しを仕込んでいましたが、アップデート後は173パターンまで増やしました。

 文言もユーザーがツイートしそうな内容を考えたり、また吹き出しを読み上げる時は『カニカニカニ~』という音を入れたりと細かい工夫を盛り込みました。さらにアイコンのテイストも本家のClubhouseに似せるため、『しっくりくるカニの画像』をフリー素材から探してきて作りましたね。やるからにはとことん面白く、楽しめるようなものを作りたいというのが根底にあるので、こうした思いをゲームに昇華させています」

気になるCrabhouseの今後。継続性があるか否かが鍵となる

 取材時点(2月20日)ではiOSとAndorid合わせて14万ダウンロードと着実にユーザー数を伸ばしているCrabhouse。

 アップデート版はキャッシュポイントを作るために広告や課金を新たに導入した。

 だがGAI氏は、「ユーザーはマネタイズに敏感なのであまりお金の匂いは出さず、あくまでサーバー代くらい収益を上げられる仕組みにしたい」とし、今後のアプリ成長の構想について次のように述べた。

「特に現時点ではダウンロード数にはこだわっておらず、今後の方向性として『継続性のアプリ』にするか『一発ネタのアプリ』として終わらせるかを見極めたいと考えています。そのため、現在は広告を入れて課金する仕組みを導入しユーザーの反応を伺っている段階。昔からゲームが好きだったので、『どんなゲームだったら面白いか』というのが自分の中で腹落ちしているので、ギミック(ゲーム内の仕掛けやからくり)のアイディアはまだまだたくさんある。あとはコンテンツを形にし、アップデートをかけていくだけなので、今後のCrabhouseの動向に期待していてください」

 ちなみに開発者本人におすすめの遊び方を伺ったところ「BGMにはかなりこだわったので、くつろぎたい時にアプリを使ってほしい」とのこと。

「ユーザーからは『家で金魚を飼っているみたいで癒される』という感想ももらっています。暇なときにCrabhouseを開いて、心和む時間を過ごすのもいいのではないでしょうか。ギミックの中にBGMがあるのですが、聞いてて落ち着くようなアンビエント音楽を入れていて、リラックスしたいときにぴったりだと思います」

 GAI氏のウィットな発想から生まれるギミックや、Crabhouseの独特の世界観にハマるユーザーはこれからも増えるだろう。

 ただシンプルにカニを眺めるだけのアプリに見えるが、開発者の想いや遊びゴコロがふんだんに詰まった傑作であることが伺い知れた。

 ヒットの裏には必ず「仕掛け」や「ユニーク性」が存在する。

 ユーザーの機微に触れ、心踊る体験を演出するコンテンツは、ゲームのみならずあらゆるビジネスに必要不可欠なのではないだろうか。

 Crabhouseの今後の発展に注目したい。

■古田島大介
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、ライフスタイル、エンタメ、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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