リモートワーク普及でアジア移住希望者が急増 “キャリアの停滞”は起こるのか?

テレワーク普及でアジア移住希望者急増

安い地域への移住で給与・ボーナス減額の可能性も……

 人事部の幹部を対象にした調査でも、移住希望者にとって気がかりな結果が出ている。

 ロンドンを拠点とするリサーチ会社、Leathwaite(リースウェイト)は、1月に発表したグローバル人事調査の結果について、「リモートワークによって物価の安い地域に移住した社員のキャリアは、限定的なものになる可能性が高い」と結論付けている。

 同調査によると、人事部の幹部の45%が「社員がフルリモートで業務を行う場合、給与とボーナスに影響がある」と回答し、39%は「リモートワークによって昇進に影響がある」と回答している。

 Leathwaiteのマネージングパートナー、アンドリュー・ウォレス氏は、「現代の職場の特徴として、より競争力のある、リモートワークをベースにしたグローバル人材の活用が増えている」と述べた。また各国の主要な上場企業での経歴をもつ幹部らは、「リモートワーカーたちは、より熾烈な世界のライバルたちとの競争に巻き込まれることになる」と考えているという。

 フルタイムでのリモートワークの実現には、世界中のリモートワーカーたちと戦っていく覚悟が必要なようだ。

 これまでのところアジアのどの国も、リモートワーカーの移住に対する見解を示しておらず、今後どのような対応がとられるかも不明だ。それでも、『Booking.com』の地域ディレクター、ヌーノ・ゲレイロ氏は、各国が海外からのリモートワーカーを受け入れるだろうと予測している。

 同氏はその理由に、ワクチンの開発、感染拡大防止策の改善、そしてリモートワークの定着などを上げ、「どこからでも仕事ができる職種の人たちにとって、移住は有望な選択肢だ」と述べた。各国の対応についても、「需要増加に伴って供給も増えるのが自然だ」としている。

 コロナウイルスの長期化によるリモートワークの定着もあって、海外移住を検討する人も多いだろう。しかし物価の安さや魅力的なレジャー環境だけでなく、自身のキャリアや、ライバルたちの動向もふまえて慎重に判断すべきだ。

(画像=Unsplashより)

■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。

〈Source〉
https://www.cnbc.com/2021/02/11/where-can-remote-workers-work-during-the-pandemic-so-far-not-asia.html
https://www.booking.com/articles/bye-bye-9-to-5-work-it-wherever-you-want.html
https://www.channelnewsasia.com/news/business/workers-from-home-beware---pay-cuts-might-be-the-price-of-freedom-14224074
https://www.leathwaite.com/news-insights/leathwaite-insights/the-global-hr-survey-results-2021/

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