Apple製VRヘッドセット、8K画質で30万円超え? 目指すは「VRヘッドセット市場のHoloLens」
一般消費者向けではFacebookがトップシェア
Appleが参入を目指していると思われるVRヘッドセット市場の現状については、ゲームメディア『gamesindustry.biz』日本版が2020年11月に報じている。その報道では調査会社Omdiaが発表した同市場に関する調査が紹介されている。その調査によれば、2020年には合計640万台のVRヘッドセットが販売され、2025年には同市場のコンテンツ収益が40億ドル(約4,200億円)に達する。こうした収益の90%はゲームによってもたらされる。この調査にもとづけば、同市場の顧客はその多くが一般消費者のゲーマーと推定できる。
ゲーム市場におけるVRヘッドセットの動向は、VRニュース専門メディア『Road to VR』が2月3日に報じている。同メディアは、老舗ゲームプラットフォームのSteamが毎月発表している各種VRヘッドセットに関するシェア推移を考察している。Steamでもっとも使われるVRヘッドセットはOculus Rift Sの23.4%で、次いで2020年10月に発売されたOculus Quest 2の17.4%である。このふたつは、どちらも4万円未満の価格である。
Steam発表のVRヘッドセットごとのシェアをメーカーごとのシェアに整理し直すと、Oculusシリーズを開発するOculusの親会社Facebookが56.4%と過半数のシェアを獲得している(下のグラフ参照)。こうした一般消費者向けVRヘッドセット市場のFacebookの王座は、当分の間ゆるぎないものと考えられる。
Appleが参入を目指す法人向けVRヘッドセット市場は、一般消費者向けのそれほど大きいものではないものも、厳しいシェア争いにまだ晒されていないとも言える。同社のブランド力と技術力をもってすれば、HoloLensが成功しているように、法人向け市場で大きなシェアを獲得できるかも知れないだろう。
トップ画像出典:9to5Mac「Apple mixed-reality headset to have two 8K displays, cost $3,000 – The Information」より画像を抜粋
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi