iPhone“意図的な減速”訴訟が欧州で拡大 イタリアでは76億円の補償を要求
AppleがiPhoneの動作速度を意図的に遅くした問題で、欧州で3つ目となる集団訴訟に直面し、4つ目の訴訟の準備も進行していることが分かった。
Appleは意図的な買い替え促進を全面否定
消費者団体とAppleの真っ向から対立する声明を交えて『The Verge』は詳報している(参考:https://www.theverge.com/2021/1/25/22248408/apple-class-action-suit-throttling-iphone-europe)。
イタリアの消費者団体Altroconsumoは、Appleが意図的に動作速度を遅くしたとして、2014年~2020年にイタリアで販売されたiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6S、iPhone 6S Plusモデルの所有者に対して、1台あたり約60ユーロに相当する総額6000万ユーロ(約76億円)の補償を求める訴訟を起こした。60ユーロは消費者がバッテリー交換に要する平均金額だという。
EUの包括的な消費者団体EuroconsumersのEls Bruggeman氏は「消費者がAppleのiPhoneを購入する際、持続可能な高品質の製品を期待しています。残念ながら、iPhone 6シリーズは、そうではありませんでした。消費者は詐欺に遭っただけでなく、フラストレーションや経済的損害も受けました。環境の観点からも、実に無責任です」と述べる。
Euroconsumersは、ベルギーのTest-AchatsやスペインのOCUに代わり、2020年12月に同様の集団訴訟を2件起こした。またポルトガルで4つ目の訴訟も計画しているという。
Appleのスポークスパーソンは「当社はApple製品の寿命を意図的に短くしたり、ユーザーエクスペリエンスを低下させて顧客のアップグレードを促進したりすることは、過去にもこの先も、決してありません。常にお客様に愛される製品を作ることが目標であり、iPhoneを可能な限り長持ちさせることを重視しています」と反論する。
アメリカでは収益を上げるための計画的陳腐化を認定
アメリカの集団訴訟では2020年3月に、Appleが原告側に最大で5億ドル(約550億円)を支払うことで和解に合意した。
アメリカで2つ目となる訴訟は、Appleが1億1,300万ドル(約120億円)を支払うことで2020年11月に和解に合意した。司法長官はAppleが古い端末の意図的な減速を隠すことで、バッテリーを交換するのではなく、新しいものを購入させて、利益を得ることができたと完全に理解したと糾弾している。