Sonyの新技術「イマーシブリアリティ・コンサート」は、アバターの視線から"現実の追体験"を加速させる
もちろん、今後も現実ではあり得ない世界観をメインに据えたバーチャルライブは発表されていくことは予想されるが、この「イマーシブリアリティ・コンサート」のように、細部にこだわることで"現実の追体験"を加速させるバーチャルライブの在り方も"バーチャルライブ元年"を越えた2021年としては非常に興味深い。また、このライブではリアルな要素だけでなく、バーチャルライブならではの現実ではあり得ない要素も含まれているとのことで、そのハイブリッドさが、実際に体験する者にどのような体験を与えてくれるのか、今から気になるところだ。
昨年の冬以降、世界的な新型コロナ感染再拡大によって、今年もリアルライブやフェス業界は厳しい状況になる見通しだ。去年12月にスペインの有名フェス『Primavera Sound』は、入場前に15分で完了するコロナウイルス検査を実施する試験イベント『PRIMACOV』を行い、ソーシャルディスタンスを確保することなくイベントを実施。その結果として感染者を1人も出さずに終えたことは、2021年におけるリアルイベントの可能性を前進させる要素になったはずだ。しかし、同じく今月はイギリスの有名フェス『Glastonbury Festival』が昨年延期となっていた開催を再び2022年まで延期するとアナウンスしており、依然、多くの人が集まる大規模なリアルイベント開催へのハードルは高いままだ。
そういった現状を鑑みてみると、今年もバーチャルライブの需要はあり、より体験としての価値を高める施策が求められるようになっていくと同時に、コロナ禍以降を見据えた、リアルの代替ではない"バーチャルライブ"として確立されたものも発表されていくのではないだろうか。「イマーシブリアリティ・コンサート」は、間違いなくその布石になるはずだ。
(画像=Sonymusic公式HPより)
■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69
〈Source〉
https://www.sonymusic.com/sonymusic-labels/madison-beer-immersive-reality-concert-experience-sony-music-entertainment-and-verizon/
https://variety.com/2021/digital/news/sony-immersive-reality-concert-madison-beer-ces-1234882988/
https://ve-nu.com/
https://www.dummymag.com/news/primavera-sound-trial-event-no-social-distancing-zero-covid-19-infections/
https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-55746293