『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」

モルカーに息づく小動物感 3秒以内で人を飽きさせないテンポの意図

配信イベントでは紹介されなかったがピクシレーションの一例として。見里たち同期生が大学院の修了制作展を告知する一環で制作。キレッキレ。

 宇多丸は『モルカー』で手間がかかっていると思ったこととして、モルカーたちが動いていない時でも絶えず息づいてることから「モルモットらしさというか、そこが生物感を感じて素晴らしい」と注目。

 すると見里は「中に針金が入ってまして……」とモルカーの人形を手にしつつ、「フェルトの柔らかい素材で作っているので、かすかな息遣いというか、ちょっとしたモルモットらしさ、小動物らしさをアニメートして表現できたらいいなと思いました」と軽く握ってみせた。

 宇多丸は「子供向けともなると、注意を逸らさせないようにしないとってのが大事。マーチャンダイズあるとしたら、限りなく本物に近いものを売れるというか、『君もモルカーが撮れる!』みたいなことができる」と納得した様子。見里も「見てよかったと思った人たちが制作に挑戦してくれるとか全然アリだと思うし、自分のオリジナルモルカーとかを作ってもらっても嬉しい」と応じた。

 鑑賞のポイントとしては、見里は「モルモットらしさを重視していたので、あまりわざとあざとい表情とか、記号的な顔の表情とかを、できるだけ入れないようにしてきた。何とも言えない顔の表情から、どれだけ感情を読み取るのかっていうのを子供に見てもらえたらいい。ちょっとした動きだったりとか、鳴き声だったりとか、色んなところから感情を拾っていって、より物語を楽しんでいってもらえたら」と期待した。

 このほか宇多丸はモルカーの挙動の関連として「常に動きがあるような演出とか構成を心がけてるのでは」と話を向けると、見里は「映像制作をしていく中で心がけていきたいと思っているのは、人を飽きさせないこと。やっぱり飽きさせないことってテンポ感なのかな。いつも自分が作る際に意識しているのは、3秒以上静止画を作らないこと」と付け加えた。

 あわせて見里は「人間が1つのものを集中して見ていられるのが、たった3秒って言われているらしくて、キャラクターに3秒以内に次の動きを入れたり、物語に関しても6秒以内に、次に進むような展開を入れるのを、これまでも意識しながら作ってきた」と述懐していた。

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