緊急事態宣言でNintendo Switchはふたたび品薄に?  振り回されるゲームハード市場、今後のカギは

 東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県を対象に、緊急事態宣言が発出された。

 昨年4月の発出時には、全国で“おうち時間”にともなう需要が加速し、Nintendo Switchは秋ごろまでの約半年間、入手困難な状況が続いた。今後起こりかねない同宣言の全国への波及は、ふたたびハード市場の混乱を呼ぶのだろうか。

緊急事態宣言発出と時機を同じくし、入手困難となったNintendo Switch

 前回、緊急事態宣言が発出されたのは、2020年4月7日のことである。今回対象となった1都3県に、大阪府・兵庫県・福岡県をくわえた7自治体からスタートした昨年の同宣言は、全国的な感染者数の増加を背景に、その後、全都道府県へと波及した。経済の分野では、外出自粛に起因する巣ごもり消費が拡大。観光や外食、アパレル、化粧品などのマーケットが縮小した一方で、お取り寄せグルメやテイクアウト・デリバリー、DIY、音楽・映像ソフトといった、自宅でも楽しめる商品・コンテンツのマーケットが活況を示している。Nintendo Switchの売り切れが話題となったゲーム市場も、そのうちのひとつだ。

 同ハードは、こうした社会的要因はもちろんのこと、『あつまれ どうぶつの森』(2020年3月発売)といった看板タイトルによる訴求もあり、大幅に販売台数を増加させた。2020年1~3月期で328万台だったその数字は、同年4~6月期に567万台、7~9月期に686万台と、右肩上がりの伸びを記録している。このような需要増加の裏で市場では、Nintendo Switchの大規模な“争奪戦”が展開された。今回の緊急事態宣言発出を受け、ふたたび品薄の状況が訪れるという見方も、一部から出始めている。

Nintendo Switchはふたたび入手困難となるのか

 Nintendo Switchが品薄となった経緯を振り返ると、需要の増加“だけ”がその理由のように聞こえる。けれども、混乱の呼び水となった要素はそれだけではない。同ハードを巡る今後の動向を考えるとき、押さえておかなければならないのが、入手困難となった“もうひとつの理由”についてだ。Nintendo Switchの品薄は、供給力の低下によって引き起こされた一面もある。

 任天堂が同ハードの生産拠点を置く中国では、2019年の終わりから2020年3月ごろにかけて新型コロナウイルスの感染拡大が確認されている。その後、世界中で経済活動を停滞させることになる未曾有の感染症は、世界のどこよりも先に同国の経済を直撃した。そのファーストインパクトは、Nintendo Switch生産工場の稼働を停止させ、同ハードの供給力低下を誘発。市場に影響の出るタイミングが、『あつまれ どうぶつの森』のリリース時期と重なってしまったことが、入手困難に至る第一歩となった。つまり、緊急事態宣言の発出や、ともなう巣ごもり消費の拡大、Nintendo Switchの需要増加は騒動の主因ではない。生産数が安定しさえしていれば、同様の品薄状況は訪れないと考えるのが大勢である。国内でどれだけ感染がひろがったとしても、ふたたび入手困難となることは考えにくいはずだ。もちろん中国や台湾、マレーシアなど(任天堂は今回の品薄を受けて、中国国外に生産拠点を分散させつつある)の状況が悪化すれば、その限りではない。注視しておかなければならないのは、それらの国における動向なのだ。

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