Spotifyの年間ランキングにみる「ラテン勢の躍進」と「トレンドが生まれる場所の変化」

Spotifyの年間ランキングにみる「ラテン勢の躍進」と「トレンドが生まれる場所の変化」

2020年 Spotifyジャパンランキング

国内で最も再生されたアーティスト

1.Official髭男dism
2.BTS
3.King Gnu
4.あいみょん
5.Mrs. GREEN APPLE
Top Artists of 2020 Japan

国内で最も再生された楽曲

1.Pretender/Official髭男dism
2.夜に駆ける/YOASOBI
3.I LOVE…/Official髭男dism
4.白日/King Gnu
5.香水/瑛人
Top Tracks of 2020 Japan

国内で最も再生されたアルバム

1.Traveler/Official髭男dism
2.CEREMONY/King Gnu
3.Attitude/Mrs. GREEN APPLE
4.エスカパレード/Official髭男dism
5.STRAY SHEEP/米津玄師
Top Albums of 2020 Japan

国内でSpotifyからInstagram Storiesに最もシェアされた楽曲

1.香水/瑛人
2.東京フラッシュ/Vaundy
3.何なんw/藤井 風
4.bad guy/ビリー・アイリッシュ
5.琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり

 国内のランキングはOfficial髭男dismが3冠。これも納得の結果だ。一昨年から去年の躍進を経て、ストリーミングサービスが普及した後の「J-POPのど真ん中」になっている感じがある。興味深かったのが「Instagram Storiesに最もシェアされた楽曲」のランキングで、瑛人、Vaundy、藤井風という並びを見ると、YOASOBIの躍進も含めて2020年の日本の音楽シーンは「才能あふれる新人が沢山登場した1年」だったと言うこともできるだろう。ここに「琥珀色の街、上海蟹の朝」という4年前の曲で並ぶくるりもすごい。

国内バイラルチャート 年間トップ10

1.夜に駆ける/YOASOBI
2.紅蓮華/LiSA
3.猫/DISH//
4.かくれんぼ/優里
5.猫 〜THE FIRST TAKE ver.〜/DISH//
6.香水/瑛人
7.キンモクセイ/オレンジスパイニクラブ
8.snow jam/Rin音
9.夜永唄/神はサイコロを振らない
10.裸の心/あいみょん

 そしてバイラルチャートから見えてくるのは、TikTokに加えて、「一発撮り」をコンセプトにしたYouTubeの音楽チャンネル「THE FIRST TAKE」の影響力の強さだろう。LiSA 「紅蓮華」の生々しいパフォーマンスはチャンネル開設当初に大きな話題を呼んだし、YOASOBI「夜に駆ける」もDISH//「猫」も「THE FIRST TAKE」がヒットの要因になったようなところがある。この傾向は来年も続きそうだし、プラットフォームとしてより存在感を増していくような気がする。

海外で最も再生された国内アーティスト

1.LiSA
2.RADWIMPS
3.ONE OK ROCK
4.米津玄師
5.久石譲
6.林ゆうき
7.Aimer
8.いきものがかり
9.TK from 凛として時雨
10.FLOW

海外で最も再生された国内アーティストの楽曲

1.紅蓮華/LiSA
2.unravel/TK from 凛として時雨
3.シルエット/KANA-BOON
4.ブルーバード/いきものがかり
5.Tokyo Drift (Fast & Furious) – From “The Fast And The Furious: Tokyo Drift” Soundtrack/Teriyaki Boyz
6.ピースサイン/米津玄師
7.summertime/cinnamons, evening cinema
8.crossing field/LiSA
9.狂乱 Hey Kids!!/THE ORAL CIGARETTES
10.Black Catcher/ビッケブランカ
プレイリスト Global Hits from Japan

 「海外で最も再生された国内アーティスト」のランキングから見えてくるのは、シンプルにアニメ関連楽曲の強さだろう。『鬼滅の刃』フィーバーが台湾やシンガポールにも波及したLiSAが2冠なのは納得だ。「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」では、2位にランクインしたTK from 凛として時雨によるアニメ『東京喰種トーキョーグール』オープニングテーマ「unravel」などアニメ関連楽曲がトップ10のうち8曲を独占している。

 そんな中、シティポップ人気とTikTokの後押しで東南アジア各国のSpotifyバイラルチャートにランクインし注目を集めたcinnamons&evening cinemaの「summertime」は注目すべき動きと言えるだろう。

 ちなみに本稿の執筆時点(12月21日)でのSpotifyのUSバイラルチャートを見ると、1位は松原みき「真夜中のドア」。12位にアニメ『ヤリチン ビッチ部』主題歌「Touch You」。22位と23位にアニメ『呪術廻戦』主題歌のEve「廻廻奇譚」、ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」がランクインしている。これらの曲はグローバルチャートや、UK、カナダなどの英語圏のバイラルチャートでも軒並みTOP50にある(参考:https://spotifycharts.com/viral/us/daily/latest

 リリースされてから40年が経った松原みき「真夜中のドア」が竹内まりや「プラスチック・ラブ」に続くシティポップ・アンセムとして世界中でバズっている状況も面白いし、次なるジャンプアニメの王道としてNETFLIXで世界配信されている『呪術廻戦』の主題歌2曲が海外で聴かれているというのも、今までの流れを考えるとすごくよくわかる。

 しかし、昨年に4月にBlu-ray & DVDが発売されて以降何の動きもなく、配信もされていない“お下品”BLアニメ『ヤリチン ビッチ部』の主題歌が、なぜ英語圏で今になってバイラルを巻き起こしているのか。現段階では理由はわからず謎は深まるばかりだ。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

 

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