『ダビスタ Switch』なぜ評価分かれる作品に? 解決できなかった伝統的課題とは
『ダービースタリオン(以下、ダビスタ)』シリーズの最新作が12月3日、Nintendo Switchでリリースされた。
1991年に第1作が発売されて以降、競走馬育成シミュレーションの定番かつ王道として名を馳せてきた同シリーズ。近年は『ウイニングポスト』といった競合タイトルの台頭などから、“過去の作品”として片付けられてしまうシチュエーションも少なくない。家庭用としては約6年ぶりとなる今作は、ファンの期待に応えるタイトルとなれたのだろうか。
本稿では、『ダビスタ』最新作のプレイを踏まえ、そのインプレッションをまとめていく。
悪い意味で予想どおり? 『ダビスタ』新作が解決できなかった伝統的課題
往年の人気シリーズの最新作とあり、今回発売となったNintendo Switch版『ダービースタリオン』(以下、『ダビスタ Switch』)は、多くのフリークから注目を浴びている。著名人の配信や界隈の盛り上がりなども作用し、SNS上には「気になる」「欲しい」といった声が散見されている状況だ。しかし、すでに購入したプレイヤーからは、「悪い意味で予想どおり」との意見が相次ぐ。過去のシリーズ作品で問題視されてきた点が解決されていないからだ。
『ダビスタ』シリーズでは、大きな支持を得ていたSFC時代の作品から、直線で馬群が後方馬の壁となるシーンが多く、伝統的に逃げ・先行の脚質が有利とされてきた。特に『ダービースタリオン04』(PS2)以降においては、大逃げなどの登場もあり、差し・追込脚質の不利が顕著となっている。こうした特徴を、競合タイトルである『ウイニングポスト』と比較し、同シリーズの欠点に挙げるプレイヤーは少なくない。現在のところ『ダビスタ Switch』では、過去作以上に逃げ有利の環境となっており、そのゲームバランスに多くの否定的意見が集まっている。
プレイヤーの体験を悪化させる、長く、多いローディング
また、長く、多いローディングの存在も低評価に拍車をかける。同タイトルでは、レース前後や種付け時、カレンダーから牧場メニューに入るときなど、さまざまな場面でまとまった読み込みが発生し、プレイのテンポを著しく悪化させている。なかでも、「牧場メニュー」と「所有馬一覧」の間に入るローディングは致命的だ。
普段、プレイヤーは、所有する競走馬・幼駒・繁殖牝馬の管理のために「所有馬一覧」画面を開いているが、出産・庭先取引・受胎報告などのたびに強制的に「牧場メニュー」へと移動させられる。当然、またプレイに戻るために「所有馬一覧」を選ぶことになるのだが、この2つの遷移のたびに、決して短くはない読み込みを挟まなくてはならないのだ。
『ダビスタ』シリーズは、競走馬育成シミュレーションというジャンルの性質上、繁殖牝馬の購入、種付け、出産、幼駒の管理、入厩、出走、引退といった工程を何度も繰り返しながら、目的の達成を目指すゲーム性を持っている。そのため、一連のフローのなかにストレス要因があればあるほど、プレイヤーの体験は悪くなりやすい。この点において『ダビスタ Switch』は火種を抱えている状況であり、実際に同タイトルに対するレビューでは、このローディングの問題が槍玉に上がっている。アップデートで改善を見せるのか、今後に注目だ。