ハイテク貯金箱『人生銀行』がスマホ仕様で登場 息子を見守る母のような気持ちで貯金したくなる
貯金するたびに、「貯金箱の住人」がどんどんリッチになっていく……謎の達成感で500円玉貯金を続けざるを得なくなるハイテク貯金箱『人生銀行』。2006年に登場し一世を風靡した同商品が、iPhoneとドッキングして進化した。住人は「棒人間」からどのように変わったのだろうか。
タカラトミーアーツの発売する『人生銀行for iPhone』はアプリと連動する仕組みだ。貯金箱にiPhone端末を設置し、いくら貯金されているかはインストールした専用アプリで管理する。
従来の人生銀行は箱側面の画面にドットで表現される棒人間が生活を営んでいたが、この最新版はiPhoneの中に“住人”が住んでいる。Android携帯には対応していないため、この際iPhoneに買い替えてみてはいかがだろう。
それにしても、地方銀行にふつうにありそうなロゴマークである。
さまざまな初期設定上のゴタゴタを乗り越えて、いざ貯金箱の住人にご対面。1万円〜10万円のあいだで貯金額を設定できる。期間は1ヶ月〜1年間だ。
1ヶ月で1万円貯金という目標にしたところ、「パターン2」の物語を設定された。合計で3パターンあるらしい。
さあ、ストーリーがはじまる。
人生銀行アプリでは、スクリーンショットが気軽にできるように緑のカメラマークが画面下部に設置されている。貯金箱の住人の勇姿をおさめよう。
太郎(※命名)はどうやら大学生から就活を経て、企業にぶじ就職し、家庭をもつことができた。プロポーズの言葉は、よいこの男子は真似してはいけない。あなたもぜひ「人生銀行」を開設していただき、ツッコんでほしいものだ。
しかし人生ゲームもびっくりな「しあわせな人生テンプレート」だが、こんな風景を夢見ることができること自体が非常に幸福なのかもしれない。
ウィズコロナ時代。メンバーシップ型からジョブ型雇用への移行だの大不況だの、ややこしくて複雑な世界に私たちは今、いる。2020年の新卒者就活がどうなるのか、というか大学入試が危ういのでは、子どもも車も家も贅沢品と言われる現代で「二人の生活も楽しいけど」「にぎやかな家にしたいわね」とか太郎が嫁さんと言っていられる状況は、もしかしたら一部の勝ち組しか味わえないものかもしれない。
こんな幸せの形が、当たり前の普通としてあったんだよ。そう遠い目で昔語りにする未来がやってくるのか、そんな感慨を抱いてしまった。
ともあれ太郎はどんどんリッチになる。公園の砂場から◯◯が出てきたり、斜め上の発想でヒット商品を飛ばしたり順調に偉くなる。ボンクラ息子に仕送りをしているオカンのような気持ちになるが、なぜかまんざらでもない。
iPhone画面いっぱいに躍動する太郎の姿に、なぜか次々と500円玉を投入したい気持ちになる。2日ほど何もしないと、物々しいサウンドとともに「ヘルプ!」と叫ぶ太郎。キャッシュレスの現代に500円玉を用意するのは大変なんだぞ。
誰かが待っている、というだけで頑張りたくなる。その心理を巧みにくすぐる名作テックホビーではなかろうか。10万円貯めてみたいあなたに人生銀行の開設をおすすめする。貯金が増えるのを、貯金箱の住人が一緒に喜んでくれる。