日本のサッカー業界における「新しい観戦様式」 ヤマハ新技術&“観客との共創”が見せる未来

「Remote Cheerer」に向けられる期待 MVP投票など新機能の提案も

「インクルージョン」を掲げるDAZNの水野重理。

 瀬戸は柳原の話を継ぎ、水野にDAZNを使ったユーザー実況はどうかと続けた。その後にも井上、梅本、柳原からユーザー参加型に関する意見が出た。

水野:Zoomによるリモート飲み会みたいなのが当たり前になった。リモートでDAZN見ながら盛り上がるようなものをうまく取り込んで、ユーザーの声を拾うツールにもしていきたいなと思っている。その中からこういう要望もあるんだというのを吸い上げて、Jリーグの中継だけではなく、オンラインのコンテンツを充実させていきたい。より選手の素顔が見られるようなコンテンツをクラブの皆様の協力を得ながら一緒に作っていくとか、舞台裏の普段見られないようなところのコンテンツを作ったらどうかとか、そういったつながりのツールにも出来たらいいなと思う。例えばイニエスタ選手なら、スペインで応援していてスペイン語で歓声が出るとかにしたら、相当面白い。

井上:選手の立場からは離れてしまうが、「Remote Cheerer」を使ってMVPを決めるなど、参加するとなるとそういった機能があると面白いと思う。選手としてはこのプレーにタップ数が多かったとかで、このプレーがみんなに評価されていくんだとかいうのが分かると、ここは自分の特徴のあるプレーなんだと認識することができる。あとお客さんはこういうのを望んでるんだなとか分かることもあると思うので、より可視化していって、選手もそれによって伸びていくというか、プレーの幅が広がってどんどん上手くなっていく。お客さんも色んな見方ができれば、もっと親しみやすくなっていくのかなと思う。

「共創、Co-creation」を掲げるサガン鳥栖の梅本昌裕。

梅本:MVPというのは面白いと思う。お客さんが参加していると実感できる体験を、オンラインでできるといいのかなと「Remote Cheerer」を使っていて思った。初期のころは実現が難しかったところからだんだん改善されていって、色んな機能がついたので、もっともっとお客さんが楽しめる要素が増えていけば増えていくほど、お客さんも参加したくなる。選手もモチベーションが上がるし、チームも地域も良くなる。いい方向につながっていくのかなと思う。

柳原:お客さんとしてはやはり、今までの一方的に与えられる情報を見ていく時代から、自分がいかに参加できるかということ。先のMVPの話もそうだが、参加意識というのが今後の新しい観戦様式になっていけば、もっともっとファンが広がっていくし、オンラインでのコミュニティーから、実際にみんなで集まってスタジアムで応援しようと、そういった流れを作っていけると一番いいんじゃないかなと思っている。

 最後に瀬戸は「サッカーに関しては、半数くらいのクラブに参加してもらっている「Remote Cheerer」だが、サッカー以外のスポーツにも広がっていっているところがある。こうした広がりやつながりを活かしていきながら、新しいスポーツの応援文化のようなプラットフォームになっていけるのかなと改めて感じた」とディスカッションを終えた。

■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「激変!アニメーション環境 平成30年史+1」(著書)など。

リモート応援システム『「Remote Cheerer」 powered by SoundUD(β版)』
CEATEC

関連記事