ゲーム機における“マイクロ化”のトレンドはなぜ起こった? 単なるノスタルジーで終わらない理由を考察

インディーズゲームが旧世代機ゲームを再評価する土壌を作った?

 旧世代機のマイクロ化が世間に受け容れられているもう一つの要因として、近年のインディーズゲームのヒットがあるのではないだろうか。何故なら、一部のインディーズゲームが旧世代機のグラフィックを踏襲したものになっているからだ。

 大ヒットを記録したインディーズゲームといえば、『Minecraft』や『UNDERTALE』などが挙げられる。『Minecraft』はポリゴン数を抑えたPlay Station初期を思わせるグラフィックながら、世界で最も売れたゲームにまで昇りつめた。また、『UNDERTALE』は任天堂の『MOTHER』シリーズを彷彿とさせるドット絵を採用していた。これらのインディーズゲームが評価されたことにより、現代のユーザーもローポリゴンやドットで構成されたグラフィックに対してそれほど抵抗を示さないのかもしれない。それどころか、むしろローポリやドットを目新しいと感じている可能性もある。このようにレトロなグラフィックを評価しやすい土壌が形成されたことも、旧世代機のマイクロ化のブームに繋がっているのではないだろうか。

 テレビゲームは、テクノロジーの発達に伴い目まぐるしい進化を遂げてきた。特に本年は次世代機の発売を控えていることもあり、日々発表される新しい機能や新作ゲームソフトの情報にはつい胸を躍らせてしまう。その一方で、旧世代機のゲームにしかなかった空気感を恋しく思うこともある。理不尽な難易度設計や説明不足で想像するしかなかった描写。テキストだけで進行するさっぱりとした会話。手狭だが探索の意欲を掻き立てるフィールドに、内臓音源を使ったチープで美しいメロディのBGM。新しいゲーム体験に対する期待が高まっている今だからこそ、かつての名作ゲームを遊ぶことにも意味があるのかもしれない。

■坂田憲亮
愛知県の田舎で自由気ままに暮らすフリーライター。アプリやゲームなどエンタメ分野をはじめ、国内大手の各種メディアにて記事を執筆中。取材から撮影、Webデザインまで行う自称・マルチクリエイター。

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