iPhone 12、韓国で通常より1カ月早く発売……その狙いとは?

 Appleが初の5G対応となるiPhone12シリーズを、例年なら遅れて投入する韓国で、他の主要国と同時に発売することが明らかになった。この方針の変換で、Appleは何を意図しているのだろうか。

通常より1カ月早く発売、5Gが進んだ韓国を重要視

 「Appleが韓国でiPhone12を通常より早く発売する」と『The Korea Herald』が報じている(参考:http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20200928000880)。

 韓国の通信事業者筋によると、Appleは10月下旬か11月上旬にiPhone12を販売する準備をしているという。その理由はズバリ、Appleが韓国でより多くの5Gユーザーを引き付けることを目標としているからだ。

 これまでAppleは、一部の国でまず発売してから、約1カ月遅れて韓国で新型iPhoneをリリースしてきた。例えば、iPhone 11は9月20日に米国等で発売された後、韓国の陳列棚に並んだのは10月25日だ。

 しかし業界関係者によると、韓国はすでに様々な5Gサービスが提供されているため、Appleは韓国で初の5G対応iPhoneを早期にリリースすることを検討しているという。韓国は2019年4月に世界で初めて5G通信を実用化した国になり、韓国の5Gユーザーは、約800万人に上る。

 SamsungとLGの5Gスマホは、いずれも28GHz帯域に対応しておらず、iPhone 12 Pro Maxは、初めて5G通信用の高周波28GHz帯域に対応する機種になると目されている。

 しかし韓国の通信事業者は、まだ28GHz帯域の機器が完全に整っていないため、ユーザーが実際に高周波帯域の速度を体験するのは、まだ難しいだろうと述べている。

AppleがSamsungの本陣に切り込む

 この新たな動きについて「Appleが、これまで苦戦している韓国市場のシェア拡大に注力している可能性がある」と『MacRumors』は指摘する(参考:https://www.macrumors.com/2020/09/28/iphone-12-may-launch-earlier-in-south-korea/)。

 韓国では、Appleのシェアは、わずか19%で自国ブランドであるSamsungのシェアが67%とスマートフォン市場を圧倒的に支配している。

 Appleは、イギリスやドイツといった主要市場と同様に早期に投入することで、韓国での足場を固めることにつながる。これは、Appleが韓国をますます重要視していることを示していると同メディアは指摘する。

 機能と価格の競争力という両刀を携えて、Appleが満を持してSamsungの本陣に切り込む構えのようだ。

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