特集「コロナ以降のカルチャー テクノロジーはエンタメを救えるか」(Vol.9)

ゴッドスコーピオンが語る、『デススト』化した世界で変わりゆく「都市や空間に“XRの魔術”をかける」意味

ハンドトラッキングの拡張は『HUNTER×HUNTER』の世界観に近づく一歩?

ーーなるほど。ちなみに、このコロナ禍でご自身の活動として変化した部分はありますか?

ゴッドスコーピオン:自分も直接、物理的な空間の中で会社の人に会うよりVRの空間の中で会社の人に会うことの方が増えました。VRの中での景色を含めたその体験、経験が日常的な1つの風景になりました。アバターでしかあったことがない社員の人も何人もいます。でもそれが日常になった。ただ、みんなとにかく自宅にいることが当たり前になったから、代わり映えのなさにストレスを感じている部分はあるかもしれません。ミーティングの予定はあるけど、たまたま隣り合わせたことによって発生する雑談からのグルーヴは起きづらいですよね。

ーー画面の中の映像を楽しむだけでなく、今後、MR技術で自室そのものを拡張できるようになれば、そうしたストレスも軽減されるかもしれませんね。その他、今後注目すべきテクノロジーがあれば教えてください。

ゴッドスコーピオン:わかりやすいところだと、VR/MRデバイスで「ハンドトラッキング」が標準実装されるようになってき、XRデバイスで手が使えるようになったのはかなりアツいと思います。常に手をトラッキングしているので、より直感的にバーチャルなものを触れるようになりました。気功やヨガ、もっと言えば漫画『HUNTER×HUNTER』の念能力(生命エネルギー=オーラを使った特殊な能力のこと)のようなものも含めて、ヴァーチャルなイメージを自分の身体を通してより感じられやすくなりました。

ーーバーチャルなものをリアルに共有できるようになる。マウスやコントローラーではなく「手」が使えるようになることで、人間の能力自体が拡張されるようなイメージですね。

ゴッドスコーピオン:能力の拡張においては人だけでなくモノ自体の能力拡張も起こっていくように思います。例えば、日本古来の付喪神的なイメージも技術の進歩と共に実感として体験されるような世界になっていくのではないでしょうか。AR/MRを通してオブジェクトを見るとオブジェクト自体に情報/及びキャラクターが宿っていて、それが我々に語りかけてくるといった世界も起こり得るように思います。モノにどんな機能、キャラクターを宿らせるようか、切り替えようかとういう認知も当たり前の感覚として我々に芽生えそうです。

 マルクス・ガブリエルの「なぜ世界は存在しないのか」で書かれているように、我々の生活世界、現実というのは画一的、限定的なものではなく、大きなヴァーチャルの中に包摂されていて、何をどの視座で各人が選択しているのかということが現実なんだという認識がSNSやXRを通し日常的にも感じ易い世の中になってきているように思います。

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