Googleが遠隔診療を変える? Google CloudとAmwellのパートナーシップ締結から考える

Googleが遠隔医療を変える?

 8月下旬、Google CloudはヘルスケアのスタートアップAmwellと戦略的パートナーシップを締結し、遠隔診療の利用機会の増大を図ることを発表した。

 米国ではコロナ禍をきっかけに、遠隔診療を利用する医師が増加している。遠隔診療の活用の機運が高まるなかで、遠隔診療のさらなる普及を目指し、このたび2社が手を組んだ。

 今回のプロジェクトに際し、Googleは1億ドル(約100億円)を投入しており、経済的事情を理由に十分な医療を受けられない人々にも医療サービスを提供することを目標に取り組んでいく。

 両社はAmwellの遠隔診療プラットフォームと、Googleが提供するG Suiteを組み合わせることで、病院内のあらゆる自然言語処理的ソリューションへと繋がると考えている。具体的に、それぞれの独自のAIや機械学習アルゴリズムを最大限に活用することで、待合室の混雑を回避したり、支払い業務を自動化したり、あるいは外国人の患者に自動翻訳を提供したりすることが可能であると見込んでいる。また、トリアージのプロセスを効率化したり、医療従事者のバーンアウトを回避したりすることができ、患者、医療従事者の双方にとってメリットを享受できるシステムとなり得るとしている。

 Amwellが提供する遠隔診療プラットフォームは、すでに約2000の病院で導入されており、慢性的な症状のみならず、緊急性の高い急性症状においても治療実績を有する。Googleという世界トップブランドと手を組むことで、今後世界各国において遠隔診療の普及が加速化していくことが予想される。

 AmwellのCEO兼医師であるイド・シェーンベルグ(Ido Schoenberg)氏は、「優れた人材、最高品質の製品、そして業務提携へのオープンなアプローチが、弊社の戦略的パートナーにするうえでの重要な決め手となった。今回のコラボの最大の狙いは医療の民主化にあり、世界中の何百人もの人々によりよい医療を提供していければと思っている」とコメントしている。

 さて、汎用性の高さが魅力のグーグル翻訳だが、専門性の高い医学分野においても遜色のない翻訳結果を生み出し得る。2019年2月25日付で米医学雑誌『JAMAインターナルメディスン』に公開された論文によると、緊急救命室に入院していた患者が退院時に医療従事者から受ける指示に対し、グーグル翻訳を使ってスペイン語や中国語に変換したところ、重大な誤りはほとんど見受けられなかったという。

 評価の対象となった100セットには647文が含まれていたが、そのうちスペイン語では594文、一方の中国語は522文が正確に翻訳された。グーグル翻訳の精度は専門的な内容を含む場合でさえも比較的高いが、生命の危機に直結する誤訳も見受けられた。誤訳のほとんどは、翻訳される前の元々の発話に非文法的な文が含まれていたことに起因することから、これについては別途対策を講じる必要があるとニューヨークのヴェイユ・コーネルメディカルセンターのラフール・シャーマ医師はコメントしている。

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