AIは白人至上主義に準ずるものだったーーケンブリッジ大博士の発言から考える“AIを取り巻く人種差別問題”
ケンブリッジ大学のリーヴァーヒューム未来知能センターのステファン・ケーブ博士による衝撃的発言が、物議を醸している。
ケーブ博士によると、AIは白人原理主義に基づいており、白人による恣意的な感情により有色人種が排除される仕組みとなっているため、ポストレイシャルな未来に相応しいツールではないという。もちろん、この有色人種には、我々日本人を含む黄色人種も含まれ得るだろう。
ケーブ博士らは、ミン皇帝や、カリブ海の象徴であるジャー・ジャー・ビックスといった二次元の人物でさえ、人種差別的なステレオタイプを有しており、その悪しき伝統は白人社会で続いていると、2020年8月6日付で情報科学系専門誌「Philosophy and Technology」の電子版に公開された論文「The Whiteness of AI」で指摘。さらに、「人々はAIによる意思決定を信じている。もしAIが白人至上主義に準ずるならば、白人以外の人間にとって危険な結末が待ち受けることになるだろう」と警鐘を鳴らした。
最近では、人種的アイデンティティを認識すると、スマートフォンに内蔵されたSiriなどのヴァーチャルアシスタントで、気を紛らわす傾向にあることを示した研究が報告されている。このような研究をはじめ、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションから批判的人種理論まで、広範な分野における最新の研究を検証した。
白人の差別思考は実に映画などのエンタメ領域に溢れている。例えば『ターミネーター』も、『ブレードランナー』も、『エクスマキナ』も、スクリーンに登場する人物はみな白人の俳優である。SF小説『2001年宇宙の旅』などに登場したAI搭載マシン「HAL9000」や、映画『her/世界でひとつの彼女』で男性と愛を育んだ人工知能「サマンサ」の声は、いずれも白人風である。
「白人は歴史的に自分たちよりも下位に位置づけられた人種に似ている誰かが、自分たちの上を行くことを想像できない。悲しいことに、これが白人社会における共通認識である。AIのイメージは”機械のような人間”として一般に表現されているが、白人の地位や潜在性がそのまま反映された存在であることは言うまでもない」と、論文の共著者であるカンタ・ディハル博士はコメントしている(参照URL:https://www.sciencefocus.com/news/racial-inequality-exacerbated-by-white-ai/)。