今年第4四半期にはApple Silicon搭載のMacBook Pro登場? チップ統一はApple Arcadeを再活性化するか
オンラインで初開催された今年のApple開発者会議『WWDC 2020』では様々な発表があったが、なかでも同社が独自設計したチップ「Apple Silicon」の発表は大きな反響を呼んだ。この独自チップを採用したMacのリリース時期の予想が明らかになった。
MacBook ProにMacBook Airも登場
Apple製品専門ニュースメディア『MacRumors』は10日、Apple製品のリリース予測の世界的権威であるMing-Chi Kuo氏のMacに関する最新レポートを報じた。そのレポートによると、2020年第4四半期に13.3インチのMacBook Proと新しいMacBook Airが発表され、どちらの製品にもApple Siliconが採用される。MacBook Airに関しては、その発表が2021年第1四半期になるかも知れない。
Kuo氏のレポートでは、2021年におけるMacのリリーススケジュールにも言及されている。2021年の第2四半期あるいは第3四半期には14インチと16インチのMacBook Proがリリースされ、どちらの製品にもApple Siliconが採用され、最新のディスプレイ素材であるミニLEDが使われる。同氏の予想が正しければ、2021年後半には最新のMacBook ProシリーズはすべてApple Silicon採用のものとなる。
ちなみに、次期iMacに関するリリーススケジュールに関してはMacRumorsが6月21日付の記事でKuo氏の予想を報じている。その予想によると、今年の第3四半期に新しいiMacがリリースされるがApple Siliconは採用されず、既存のIntel製チップのものをアップデートする、とのこと。iMacにApple Siliconが採用される時期については、Kuo氏はまだ何も発言していない。
Steamと疎遠になってしまうが……
MacにApple Siliconが採用されるメリットについては、既報のように、さらなる省電力の実現とiOSアプリのシームレスな利用といったことが指摘されている。こうしたなか、US版Forbesは11日、Apple Siliconを採用した場合のデメリットにフォーカスした記事を公開した。
US版Forbesの記事によると、Appleは同チップをMacに採用することによって、PCゲーム市場で不利になる可能性が高い。というのも、PCゲーム市場で大きな存在感を示しているSteamの利用が不便になるからだ。Steamから購入可能なゲームのなかには、Windows PCのみに対応してMacには非対応なものが少なくない。
例えば、2020年7月14日にリリースされるPC版『DEATH STRANDING』はWindows PCのみに対応している。MacにApple Siliconが採用された場合、こうしたSteamにおける「Mac非対応ゲーム」はさらに増えると予想される。というのも、独自設計されたチップで動作するPCを使って高精細なゲームグラフィックを実現するのは、高い技術力と少なくない開発工数が求められるからだ。
もっとも、以上のようなデメリットはAppleも承知のはずだ。デメリットが生じるにも関わらずApple Siliconの採用を進める理由のひとつとして考えられるのは、Apple Arcadeの存在だ。周知の通り、定額制ゲームストリーミングサービスであるApple ArcadeはMacでのプレイが可能ではあるが、iOSデバイスでのプレイに最適化されている傾向がある。しかしMacにApple Siliconが採用された場合、Apple ArcadeにラインナップされたゲームをMacからプレイしても、iOSデバイスでのプレイ時と変わらない快適さが得られるようになるのだ。その結果、Apple Arcadeを中心にしたApple独自のゲーム経済圏が強化されるだろう。