『M』田中みな実演じる「姫野礼香」の過去編『L 礼香の真実』にみた“アブない献身ぶりのルーツ”

Lの手口その3. 邪魔者を徹底的に排除

 高校生になった礼香は、学年成績トップの正幸を脅かす存在の真一を、どうにか排除したいと考える。真一に色仕掛けをし、毎日放課後に勉強を教えてもらう約束を取り付けると、真一が勉強に身が入らないようにするために、帰宅後も毎晩遅くまで電話をする徹底ぶり。お返しにと好意のカケラもない真一にキスする姿は、本編での流川とのキスシーンと重なるものがある。

 そして、何かと正幸に辛く当たり、真一を贔屓する学年主任・芥川への仕打ちもえげつない。

 小学生の頃から「目には目を歯には歯を」という彼女の方針は変わらないようで、また現在の礼香が語っているように「マサを幸せにするためなら、私なんでもするのよ。昔から……」を地で行っている。

 アユはマサとのベルファーレにおける初対面で「皆のことを“違う”って一言で切り捨てて、神様ですか?」と怒りをぶつけるシーンがある。一方、礼香は好きな人が自分の中で神様になってしまうのだ。神聖なものとして崇拝し信仰する。その信仰心の強さから、崇拝の対象を汚すようなものが現れたときには「当然のこと」として、それを取り除く。“神への冒涜を図るものを成敗した”という感覚の彼女の中で、罪悪感が芽生えることはないのだろう。「恋は盲目」のレベルではないが、ベクトルややり方は間違えてはいるものの、彼女のひたむきさ、ピュアさもあってのあの献身ぶりなのだろう。彼女自身も相当のリスクを負って、自己犠牲を強いていると思う。

 第2章は高校生の礼香に、新たなる刺客が登場する。どんな“ホラーシーン”が待ち受けているのか、怖いもの見たさが止められない。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter:https://twitter.com/Tominokoji

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