作品か技術か、録画かライブか リアルタイムキャラクターが提起するアニメとアニメーションの境界
バーチャルYouTuber(VTuber)やアニ文字など、様々な用途を目的とした2Dや3DCGのキャラクターによるリアルタイム表現は、今や馴染みの深いものになっている。
その一方で、キャラクターを動かす“魂”(演者)があるというから、この表現は“アニメ”なのかどうか、という疑問が浮かんでいる人もいるようだ。
キャラクターがアニメであるかどうかというのは、録画かライブ(生)かというところに境界があるようにも思われる。ここではそれらの判断要素について考察してみたい。
なお本件では作品を「アニメ」、技術を「アニメーション」として話を進めていく。作品を主体とした話ではなく、技術を主体とした話の中では、言葉としてアニメよりもアニメーションの利用頻度が高い傾向にあるからだ。
演者のリアルタイムとゲーム操作のリアルタイム
2Dや3DCGのキャラクターをリアルタイムで動かす方法には、演者にマーカーを付けてカメラを経由して認識させるモーションキャプチャーや、演者をカメラが自動的に認識して追随するモーショントラッキングなどがある。
モーションキャプチャーは個人でも手の届く価格帯の機材が出てきたとはいえ、取っつきにくい印象があるかもしれない。一方モーショントラッキングであればスマホの顔認証アプリからでも気軽に始めることができる状況になった。
こうした技術だけでなく、ゲームのオープンワールドなどを応用して、会議や授業を行う例も増えてきた。そのためさらにゲームのキャラクターを操作している場合などに関しても触れておく必要がある。
ゲームやデジタルサイネージなどのキャラクターは、ユーザーのアクションに対してリアルタイムに反応してはいる。ただ、キャラクターのアクションそのものは固定かランダムかの違いはあるものの、パターンが決まっている。
それらの「アニメーション」は、モーションキャプチャーやモーショントラッキングよりもリアルタイム度が限定された「アニメーション」になっている。そしてどちらを録画で見ても、当然ながら再生の度に内容が変わるわけではない。
先日も出演者がVTuberの『NHKバーチャルのど自慢』が、本家の『NHKのど自慢』枠で再放送されて話題となった。NHKでは同番組について「アニメ」として情報を扱っている。収録はリアルタイムだが、録画を放送しているため「アニメ」になるのだろう。