SKY-HIとCreepy Nutsに聞く、“おうちでメトロック”の手応えとコロナ禍の過ごし方

“おうちでメトロック”インタビュー

SKY-HIインタビュー

SKY-HI

ーー本日のメトロックはどうでしたか?

SKY-HI:なんだかんだ色々と配信で出演することはあったので、今回も違和感なくパフォーマンスすることができました。クロストークだけは「いま入りたい!」みたいな間があっても気になって入れなかったりするんですけど、一緒にトークするアーティストがCreepy Nutsで助かりました。R-指定と最初に会ったのは10年くらい前だと考えると、感慨深いものがありますね。

SKY-HI:メトロックは「バチバチに取りに行くぞ」という感じで、気合入れたリハもしていたし「勝ち目しかない」という状態まで仕上げていて。ドラム・ギター・DJという編成やセットリストも作っていたので、中止が決まったときの失望っぷりったら、目も当てられないレベルでした。毎回ライブの時は、アカペラのところに楽器が合わさったり、ドラムとギターの掛け合いの上にラップを乗せたりとか、音源にないものを作っていくんですけど、今回もメトロック用の新ネタも2つ用意していたので、中止になったいまとなっては「一生蔵にいれておこう」という気持ちです。

ーーそう言わず、来年以降のフェスやメトロックに活かしてほしいです。

SKY-HI:そうですね。研鑽して損なことはないので、磨き続けていってお出ししたいな思います。とにかく今は来年以降を見据えないとしょうがないし、年内の動きについて早めに切り替えて動いていたおかげで、ライブだったりコンテンツの発表は立て続けにできると思います。共演のスタッフの方から「むしろコロナ禍のほうが活発に動いてるね」と言われて、複雑な気持ちではありますが(笑)。

ーーちなみに、SKY-HIさんにとってのメトロックとは?

SKY-HI:「ずっと出たかったけど出られなかった場所」ですね。毎年ツアーや他のライブとかぶることが多くて、なかなか難しかったんですよ。でも、去年のタイミングでは早いタイミングでお声がけいただいていたので、ツアースケジュールを組む際にも「ここは空けておこう」とすることができて、気合を入れて望もうと思っていたところなんです。

ーートークゾーンでは、先日初めてZoomで人狼をプレイしたという話がありました。オンラインでの遊びや飲み会のお供になるものはありますか?

SKY-HI:サントリーのハイボールですかね(笑)。人狼は初めてだったんですけど、自分のバンドやダンサーのみんな(SUPER FLYERS)とお酒を飲んでいることが多いですかね。

ーークロストークや他のインタビューでも、「一時的にコロナ鬱になったが、アウトプットをしているうちに持ち直してきた」という話がありました。日高さんにとって、音楽制作は元からセルフケア的な部分があるのでしょうか。

SKY-HI:唯一のメンタルケアと言っても過言ではないかもしれません。作っている間は余計なことが削ぎ落とされて没入する感覚になれるので。普通にしていると、考えることが一つや二つじゃなくなっちゃうんで、ポジティブに考えようとしすぎたり、後ろ向きなことが目についたり。それは精神的に安定した状態じゃないし、言ってしまえば、世の中全体が安定していないじゃないですか。

ーーたしかに。

SKY-HI:SNSも殺伐としてるというか荒んでるというか、今までの感覚ならなんでもなさそうなことがいろんなところで炎上しているのを見ていたり、顔の見えないところで石をぶつけ合うのがずっと目に入っちゃうから、どこへいっても……いや、どこもいけないからこそ、情報を入れることが前向きになることに直結しないので、排出する方向で前向きになるようにしています。走ってめちゃくちゃ疲れると何も考えられなくなる、みたいな状態に近いところはあるかもしれません。そういう意味で、物を作り上げて世の中に出す作業というのは、メンタルケアであり自尊心の担保につながるのかもしれないし、自分にとっても(自分は)何の人、どこの人であるかを考える時間になりました。

ーーSUPER FLYERSのみなさんとは定期的に飲んでいる、という話でしたが、彼らのようなミュージシャン・ダンサーたちはコロナ禍において大丈夫なのか、FLYERS(SKY-HIファンの総称)も気になっていると思います。

SKY-HI:レコーディングやクリエイションに直接関わっているタイプのミュージシャンや、家族のいる方は精神的には健康そうでしたけど、逆に独り身でプレイヤーとしての仕事が多い人は、最初にZoomで話したときも、目が死んでるとかじゃなくて、生者と死者で言えば概念的には死者に寄っているのではという雰囲気でしたね。もう腐臭さえするのではというくらいの表情でした。うーん……さすがに言い過ぎですかね(笑)。

ーーなるほど。どうしたらネガティブなことを払拭できるか、クリエイション以外に方法があれば教えてください。

SKY-HI:ネガティブになったときに「ネガティブなことを考えないようにしよう」と思うのって、かなり難しいじゃないですか。寝なきゃいけないのに寝れない、という感覚に近いというか。だから、時間や日にちを決めるなりして、一回ネガティブに入っちゃうのもありだと思います。僕も(この新型コロナの流行の影響で)一回沈んだときに、2日間なにもしない時間を過ごした結果、反動として曲を作り始めて、それが抜け出すきっかけにもなったので。自分では「気楽にネガティブ、思慮深くポジティブ」と言ってるんですが、そういう時間を作るのが大切だと思います。あとはこの期間中に目標を作るとかね。それがくだらないことでも意外と集中できて、モチベーションが上がったりするんですよ。自分の出身校の過去問を解く、とかでもいいかもしれないし。

ーー最後に、ファンの皆さんに一言お願いします。

SKY-HI:程度の差こそあれ、大変な時代だと思うんですよ。食うや食わずな人もいれば「ちょっと仕事遅れちゃってるよ」とか「遊びに行けないなー」レベルの人もいると思うんですが、いずれの人にとっても大変なのは間違いない。全世界の人が同じ状況にあるいま、踏ん張って乗り越えようみたいなのは刺さらないなと思っていて。曲でも言いましたけど、この事態が終わったからといって「戻る」わけじゃないですからね。「はい、いまから2019年の感じに戻してください」と言ってもそうもいかないし、永遠に何かの爪痕が残ったまま新しい時代が始まってしまうので、そのなかでも何をしていくかが重要だと思うんです。

 だからこそ、「こうやって生きていこう」と思う人は、それに向かって頑張ることを応援するし、決めてない人も新しい時代が始まるから、とりあえず波に乗っていれば、自分に合うものが見つかると思う。俺はそのなかでも、一生家にいても音楽を作り続けて生きていけるような気がしたので、それなりにみなさんがお家にいても楽しんでもらえるようなものを年内でも届けられる気がするので、気楽にネガティブ、思慮深くポジティブに、一緒に生きていきましょう。

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