半田付けキット、携帯ビデ、BDSMバーチャルレッスンなど…… コロナきっかけに登場した奇妙なクラウドファンディング
アート・本・映画・ジャーナリズムは資金集めに苦戦か
コロナウイルスからインスピレーションを受けたものの中には、映画や本、アートなども見られる。しかしこれらはどれも資金集めは上手くいっていない。
COVID-19のナラティブ・ドキュメンタリー映画制作に資金を募るものや、コロナテーマのアクションドラマ映画を作りたいという淡い願望から適当なキャンペーンを作るもの、コロナ後の生活に関する本を出版したいというもの、スペイン語の詩と絵で綴るパンデミック下の生活、最近妻を無くした(コロナは関係ない)著者による『Love and the Pandemic』(愛とパンデミック)という本、コロナにインスパイアされたアート、フォトジャーナリストの捉えたボンダイビーチ。
4月30日の記事執筆時点ではどれも目標金額には達成できておらず、唯一ドキュメンタリー映画のみが約5万円という控えめな目標金額の40%ほどを集めているのみだ。
アプリ・ウェブサービス
隔離を受けてどの国でもデジタル化に向けて加速が始まった感があるが、これに関連したアプリケーションやウェブサービスを作るというキャンペーンも見られた。
テレワーク用オンラインプラットフォーム、コロナ後の世の中をターゲットに現実世界でのソーシャル性を促進するためのアプリ、日常的にコロナによる悲劇に接する医療関係者たちにポジティブな情報のみ見せるというアプリなんていうものも見られた。
しかしこれらもコロナ状況下で人々の心(と財布)を掴むことができなかったようで、どれも成功していない。
その他諸々
そのほかにもコロナウイルス関連キャンペーンは山ほどある。
手首に装着できる消毒液ディスペンサー、電池入れ替えの面倒さを解消したハンドクランク式(!)の赤外線温度計、スマートフォンに付けるUVライトといったガジェット/ツール。
医者や看護師、救急隊員、など、コロナと戦う勇者達にあげるためのギフトコインのキャンペーン、Tシャツブランドを作りたい子供に資金を集めるために「F*** Coronavirus」と書かれたシャツをリワードにしたキャンペーン、コロナを受けてちょっと話題となった「ペスト医師」を象ったピン、顔を触ろうとすると警告するスマートウォッチ用アプリもあった。
意図的かどうかわからないもののキャンペーンイメージがどう見てもコロナウイルス的な「エナジー・エクスチェンジ」プラットフォームを作るというキャンペーンがあったのも興味深いところだ。
終わりに
今回紹介したキャンペーンの半数以上が執筆時点で資金調達に成功できていない。
「コロナだ!儲けよう!」と適当に考えた(ように見える)キャンペーンが成功していないのは当然だが、一見資金が集まりそうなものも失敗している裏には、レイオフや仕事を無くすなどして、これまでクラウドファンディングによく出資していた人達が自由に使える資金を失っているなどの影響もあるのだろうか。と当初は考えていたが(実際影響はゼロではないだろうが)、一方ではコロナに関連していないスキレットやミニチュアや抱き枕、動物スケッチや猫用体重計などのキャンペーンは資金調達に成功している。
すでにコミュニティーが形成されているジャンル(トランプとかピンバッジとか)や、これまですでに資金調達に成功しているキャンペーン主によるものの方が成功しやすいというのも、平常時と同様の傾向だ。それを考えると、やはり準備期間の短さやそれに起因するキャンペーンのクオリティーの低さ、そして、「コロナがテーマになっているキャンペーン」というだけで、やはりどれもコロナ危機に便乗したようなネガティブな印象を受けてしまうのかもしれない。
Source: Kickstarter, Kickstarter (2), Kickstarter (3), Kickstarter (4), Kickstarter (5), Real Sound Tech, Real Sound Tech (2), Kickstarter (6), Kickstarter (7), Kickstarter (8), Kickstarter (9), Kickstarter (10), Kickstarter (11)、Kickstarter (12), Kickstarter (13), Kickstarter (14), Kickstarter (15), Kickstarter (16), Kickstarter (17), Kickstarter (18), Kickstarter (19), Kickstarter (20), Kickstarter (21), Kickstarter (22), Kickstarter (23), Kickstarter (24), Kickstarter (25), Kickstarter (26)、Kickstarter (27), Kickstarter (28), Kickstarter (29), Kickstarter (30), Kickstarter (31), Kickstarter (32), Kickstarter (33), Kickstarter (34), Kickstarter (35), Kickstarter (36), Kickstarter (37), Kickstarter (38), Kickstarter (39), Kickstarter (40), Kickstarter (41), Kickstarter (42), Kickstarter (43), Kickstarter (44), Kickstarter (45)
■Yu Ando
フィンランド在住フリーライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィン・日両国の文化を紹介する講演を行うことも。趣味はガジェットへの散財。
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