Instagram、ビデオチャット中に友達と投稿を見れるように 広がる“社会的距離”逆手にとったアプリ開発
イタリアでは外出禁止令違反者の実態を解明
Zenlyの新機能は社会的距離の維持をゲームに昇華しているが、社会的距離をシリアスな目的で活用するテック系企業も現れている。ワシントン・ポスト紙電子版は25日、社会的距離をシリアスに活用する企業に関する特集記事を公開した。その記事では、位置情報にもとづいたマーケティングを提供するアメリカ企業Unacastの事例が紹介されている。
Unacastは、スマホから収集できる位置情報を使って住民の移動距離を算出し、その移動距離にもとづいて社会的距離を維持しているレベルをスコア化するサービス「Social Distancing Scoreboard」を公開している(下の画像参照)。スコアは州と郡ごとに集計され、移動距離が新型コロナ流行以前の平均移動距離より少ないほど高いスコアとなる。スコアは「A」から「F」までの6段階あり、毎日更新されている。
新型コロナの感染が深刻なイタリアでは、外出禁止令が布告されているにも関わらず、外出する住人が後を絶たなかった。こうした事態を受けて、イタリアのAIスタートアップLogo GrabはAIによる画像分析技術を使って、イタリア国内でシェアされているInstagramの画像から外出禁止令違反者の実態を調査した。その結果、外出禁止令下でも新型コロナの感染が確認されていないイタリア人の26%がビーチで過ごし、17%は公園にいたことがわかった。
以上のように社会的距離の維持が求められる状況下であるからこそ、誕生した機能やサービスがある。もっとも、位置情報を活用したものについては、プライバシーに配慮して展開されるべきであろう。
トップ画像出典:Instagramブログ記事「Instagramで利用者に情報やサポートを提供し、利用者の安全を確保」より画像を引用
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi