『CES 2020』注目浴びたソニーの次世代自動車とトヨタの「スマートシティ」、海外メディアはどう報じた?
トヨタのスマートシティ計画、海外メディアはGoogleと比較
ソニーが車まわりの技術やサービスを開発する一方で、自動車メーカーのトヨタも興味深い取り組みを紹介している。
富士山のふもとにある175エーカーの自動車工場跡地に、トヨタ社員やその家族等、2000人が暮らすスマートシティ、その名も「Woven City」をつくる構想で、2021年末に起工予定だという。設計には、デンマークの著名建築家ビャルケ・インゲルス氏が携わっているとのこと。
トヨタがモビリティ事業を行うのは非常に自然な成り行きだが、今回の発表は、そこから更に一歩踏み込んだ内容だ。スマートモビリティは、スマートシティとも密接につながっており、トヨタは、大資本を投入し、思い切って都市インフラの側にも本格参入するということが鮮明になった。
『The Verge』は、トヨタの「Woven City」について、Googleが2017年に発表した、トロントのスマートシティ「Sidewalk Labs」プロジェクトとの比較も行なっている。トロントでは、テクノロジー企業によるデータ収集、住民監視、それに伴う収益化に地元住民の反対運動も起こり、Googleの当初の予定通りに進んでいない部分もある(参考:https://www.theverge.com/2020/1/6/21052324/toyota-woven-city-japan-bjarke-ingels-ces-2020)。
一方で、トヨタの「Woven City」は、誰もいない場所にトヨタ社員中心の街をつくるということで、反対運動が起こることはまず考えられない。トヨタ自動車の豊田章男社長は、「研究者、エンジニア、科学者たちが、自動運転やモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、ロボット、スマートホームコネクティッド技術、人工知能などのテクノロジーを自由に試すことが出来る。それもリアルな実証環境において」と自負する。
これらの例を見ていくと、元々は音響メーカーのソニー、自動車メーカーのトヨタ、検索エンジンのGoogleといった大手企業が、様々な事業に参入し切磋琢磨していることがわかる。3社をはじめとしたこのような展開は、2020年代のAIやIoTによりもたらされる大きな変革期に際して産業の垣根を越える、2020年代における大手企業のあり方を示しているのかもしれない。
■Nagata Tombo
ライターであると同時にIT、エンタメ、クリエーティヴ系業界にも出入りする。水面下に潜んでいたかと思うと、大空をふわふわと飛びまわり、千里眼で世の中を俯瞰する。