DVDの終焉は近い? ストリーミングの影響でフィジカルメディアに異変

 こうした中、DVD売上の今後の見通しもやはり厳しいものとなっている。しかし一方では、アナログレコードのようにフィジカルフォーマットの人気が復活した音楽業界のように、DVDやBlu-rayに対しても所有欲やノスタルジーを喚起するフォーマットとして期待する少数意見もある。

 大手スタジオは、DVDやBlu-rayなどの高額商品をフィジカルディスクだけでなく、デジタルダウンロードやパッケージ販売と商品のラインナップを増やして、コレクター向けに販売する戦略にシフトしているという。そして自社または提携する映像ストリーミング・プラットフォームによるコンテンツ配信ビジネスを将来と見据えて、すでに動き始めている。

 例えばディズニーが配信する『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』では、オリジナルの映像をDisney+用に再編集して配信している。この編集はジョージ・ルーカス自らが関わったことが明らかになった。DVDやBlu-rayでは実現不可能でも、コンテンツのデータにアクセスできるストリーミングであれば、オリジナル作品を再編集して配信するといった映像技術はさらに進化するだろう。

 先日、日本でもアニメ産業の売上規模が「配信」が「ビデオパッケージ」を追い抜くという報道もあり、映像ストリーミングの利用が広がる日本でもDVDの役割は徐々に変化していくはずだ。

参照:アニメ産業の市場規模 過去最高更新 「海外展開」初の1兆円超 | NHKニュース

■ジェイ・コウガミ(デジタル音楽ジャーナリスト、All Digital Music
デジタル音楽ジャーナリスト。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。「世界のデジタル音楽」をテーマに、日本のメディアでは紹介されないサービスやテクノロジー、ビジネス、最新トレンドを幅広く分析し紹介する。オンラインメディアや経済誌での寄稿のほか、テレビ、ラジオなどで活動する。
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