Twitchから有名ゲーム実況者大量離脱 マイクロソフトやYouTube、Facebookへ移籍の理由は?

 海外の有名ゲーム実況者たちが、Twitchを離脱して別の動画配信サービスへの移籍が止まらない。

 先日、『ハースストーン』や『チームファイト・タクティクス』の配信で知られる27歳のカナダ人ストリーマー、Disguised Toastが、Twitchを離れることを表明した。Twitchで130万人以上のフォロワーを抱えていた彼は、世界のTwitch配信者でもトップ100にランクインしていた。最後のTwitchでのライブ配信は現在まで7000万回以上再生されている。

 Disguised Toastが次に選んだゲーム配信サービスは、Facebookが運営するゲーム実況者向け配信サービス「Facebook Gaming」。彼は今後、「Facebook Gaming」でゲーム実況を独占配信する。「Facebook Gaming」にとって、Disguised Toastは独占契約に成功した英語圏出身の大物ゲーマーの一人となる。

 すでに巨大なSNSであるFacebookだが、ゲームではまだまだ新興勢力と言えるため、今回の独占契約の成功は、海外のゲーム・コミュニティやゲームメディアで高い注目を集めた。

 ほかにも、2019年はTwitchを離脱する有名ゲーム実況者が一気に増えた年となった。口火を切ったのは8月にTwitchを離れ、MicrosoftのMixerと独占契約を結んだ、『Fortnite』配信で世界的な人気を誇るストリーマーでプロゲーマーの「Ninja」だ(参考:海外有名ゲーム配信者「Ninja」、TwitchからMixerに“莫大な金額”で電撃移籍&独占契約)。

 彼に続いて、『PUBG』や『カウンターストライク』配信で有名なカナダ人ストリーマーの「Shroud」も10月にMixerと独占契約を結んだ。彼らはそれぞれTwitchのフォロワー数が世界1位、3位という、プラットフォームにとって重要なメガストリーマー。そんな2人が2カ月という短期間で相次いで移籍したため、ファンや業界から大きな反響を呼んだ。

 その後もTwitchからのタレント流出は続く。11月には世界的な人気を誇るeスポーツチーム「FaZe Clan」とわずか13歳で契約した、女性『Fortnite』プロゲーマーでストリーマーの「EwOk」がMixerと独占契約。また、『Destiny』の配信で知られるストリーマー「King Gothalion」もTwitchからMixerへ移籍している。

 EwOkやKing Gothalionの移籍は興味深い。NinjaやShroudに比べて知名度もフォロワーも少なく(それでもKing Gothalionは100万人以上のフォロワーがいた)、メインストリームなメディアからも注目される「セレブリティ」とは言えない彼らだが、ゲームコミュニティに根付いた活動で評価されてきたストリーマーというポジションにいるからだ。

 Twitchからの離脱先はMixerだけではない。11月にはアメリカのeスポーツチームで、コンテンツクリエイター集団「100 Thieves」のストリーマー「CouRage」がTwitchを去り、YouTubeと独占契約を結んだことが話題となった。また、『Fortnite』ストリーマーでYouTuberとしても活躍する「Lachlan」も、YouTubeと独占契約を交わした。

 Amazon傘下のTwitch、MicrosoftのMixer、YouTube、そしてFacebookによる、ゲーム実況プラットフォームの覇権争いは今後更に競争が増すだろう。現在市場をリードするのは圧倒的にTwitchだ。StreamElementsの調べによれば、北米でのゲーム実況の視聴時間のシェアでは、Twitchが75.6%と他社を凌駕し、2位はYouTube Gaming、3位はFacebook、4位がMixerと続く。

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