ナポリの男たち『RimWorld』動画はなぜ“ゲーム実況の金字塔”なのか? 最終回に寄せて魅力を解説

 4人組の人気ゲーム実況グループ「ナポリの男たち」が7月3日、ニコニコ動画上で『【実況】ナポリの遭難者たち 最終回・前編【RimWorld】』と題した動画を公開した。今年1月にシリーズ1作目が公開され、現在は70万再生を突破。ファンから「いきがい」と言われる一連の動画が、終わりを迎えつつある。「ナポリの男たち」のことをまったく知らない人が、初見でも楽しめるかどうかは、動画をよく見てきた筆者には判断がつきづらいところだが、「ゲーム実況」という分野で、ひとつの到達点とも言えそうな面白さのため、簡単ながらその魅力を紹介したい。

 そもそも「ナポリの男たちは」とはどんなグループか、ということについては、当サイト記事「米津玄師、岡崎体育もハマるゲーム実況者『ナポリの男たち』って何者?」(https://realsound.jp/tech/2018/05/post-190366.html)に詳しい。タイトルにもある通り、米津玄師がファンと公言しているグループで、結成は2016年。メンバーであるジャック・オ・蘭たん、すぎる、hacchi(ハッチ)、shu3(シューサン)の4人は、“アイドル実況者”というより、ゲーム実況のコアなファンに愛されてきた尖った魅力のあるメンツだが、“毒”の成分は少なく、リスナーの指摘から生まれた「介護疲れに効く動画」がキャッチコピーになっている。

 続いて、今回彼らがプレイしている『RimWorld』は、2016年7月のリリース以降、根強い人気を誇るシミュレーションゲームだ。ざっくり言えば、宇宙船から緊急離脱し、未知の惑星に不時着したプレイヤーが、現地のリソースを使ってコロニーを形成し、脱出を図るーーという内容だが、インディペンデント系の作品だけあって、ゲームバランスはかなりシビアで、グロテスクな部分もある。食料を確保し、天変地異や蛮族の襲撃に耐え、仲間を増やして生活基盤を固めていく、という箱庭系シミュレーションゲームの魅力もありながら、過酷な環境で仲間が発狂することもあれば、食糧問題が深刻化すれば、仲間を“犠牲”にすることもあり得る。宇宙船を造って脱出、という目標はあるものの、苦労して築いたコロニーでの生活を楽しみ続けるプレイヤーも少なくないようだ。一度ハマると抜け出せない、「時間泥棒」的ゲームである。

 さて、この実況動画だが、4人でワチャワチャとプレイするわけではなく、役割分担が面白い。

 プレイヤーは「蘭たん」。ほぼ初見プレイで高難易度の本作に挑むが、状況の描写においても、キャラクターのネーミングにおいても言葉のセンスに優れ、ときに思い切りのあるプレイがドラマを引き起こす。リアクション一発で爆笑を起こす、というタイプの実況ではなく、常にニヤニヤさせてくれるのが、シビアで息苦しさもあるゲームを、ストレスなく楽しめるものにしている。

 その横でサポート&アドバイスをするのが、本作既プレイの「hacchi」だ。蘭たんと視聴者がゲームを楽しめるように、ネタバレを慎重に避けながら、ちょうどいいガイドをするというファインプレイを見せており、鬼畜ゲームすら心から楽しむゲーマーであり、ツッコミにも定評のある彼の存在が、動画の質を決定づけている。

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