「超ボカニコ2019」に見た“wowakaが残したもの” DJ'TEKINA//SOMETHING「『またどうせ見れるから』って言わないで」

「アーティストとしても、人間としても、残されている時間って、人に違いはあれど、必ずある。このステージに何年も立ってるけど、『また来年あるから』とか、『またどうせここでできるや』って思ってDJをやってたら、急になくなったらすごく辛くなっちゃう。イベントだけじゃなくて、曲も、人も、いきなりなくなっちゃったらすごく悲しいです。だからみんなに言いたいのは、頼むから、いまという時間を本当に大切にして、『またどうせ見れるから』『会えるから』って言わないで、行こうと思ったら必ず来てほしいし、何かやろうと思ったら、先に延ばさないですぐにやってほしい」

 最後に「僕は今年で30歳になります。僕はどこまで音楽をやるのかわからない。だけれど、僕はニコニコ動画でみんなに聴いてもらって、ここに立って、みんなに手を上げてもらえていることを、心から感謝しています。また聴けるからとか、また見れるからじゃなくて、いまの声をくれよ!」と観客を煽ったDJ'TEKINA//SOMETHING。濃密な時間を締めくくったのは、彼がこのステージに立つきっかけになったとも言える大ヒット曲ーーステージ上では常に弾けていて、天真爛漫さも感じる彼のキャラクターから少し離れた、シリアスで切なく、美しい「Palette」だった。

 その後、バーチャルな姿で登場したナユタン星人のハチャメチャなステージ、八王子Pの4つ打ちを中心としたどっしりとしたプレイ、みきとPの生バンドでのパフォーマンスも圧巻で、6時間を超えるステージは常に多くの観客でにぎわった。ニコニコ動画で花開いた「ボーカロイド」というカルチャー。wowakaがいまもクリエイターに与え続けている影響とともに、その色褪せない輝きを感じるステージだった。

(文=橋川良寛)

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