「60代以上のフリマアプリ利用実態」意識調査発表 「社会とのつながり」つくるツールとしての利用も
株式会社メルカリは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野隆司監修の下、全国のフリマアプリ利用者・非利用者1,648名を対象に「シニア世代のフリマアプリ利用」に関する意識調査を実施した。調査の結果、60代以上の利用者は、一般的なフリマアプリの利用目的である「お金を得る」や「不要品の処分」以外に、「社会とのつながり」をつくるツールとしての価値を見出していることがわかった。
本調査結果をもとに、メルカリでは報道関係者を対象とした調査結果発表会を3月11日に開催した。
当日の調査発表会では、第1部として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野隆司が、「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査の結果報告を行った。前野は「60代以上におけるフリマアプリ利用者は非利用者に比べ、働く意欲やチャレンジ精神が高く、ネットを使いこなしており、フリマアプリを通じて社会とのつながりを感じている。この調査だけで因果関係は説明できないが、フリマアプリを使うことにより多様な人との繋がりが増え、豊かになっていく傾向にあるとは言えそうだと思います。」などとコメントした。
また、メルカリを利用するシニアの代表として五味春生さん(70代・男性)と毛利多起子さん(60代・女性)が登壇し、メルカリの利用状況や生活の変化ついて話した。五味さんからは「メルカリは自分にとって、外の世界とつながっているへその緒。世間の情報や知識、人の温かさが入ってくる。閉じこもりがちなシニアも、フリマアプリをつかって社会とつながってほしい。」、毛利さんは「出品して、寝て、朝起きて、売れてるという時が嬉しい。発送で郵便局に行くことが増え、窓口の人とも仲良くなり、メルカリ以外でも人とのつながりが増えた」など実際にあったエピソードを交えて話した。
第2部では「フリマアプリは老後を豊かにできるのか」というテーマで、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野隆司、株式会社メルカリ執行役員メルカリジャパンCEO 田面木宏尚、株式会社メルカリプロダクトPRマネージャー 中澤理香によるパネルディスカッションを行った。前野は、「60代以上のフリマアプリ利用者・非利用者の幸福度は利用者75.5%、非利用者69.2%」という結果に対して「日本全国の共通の趣味や関心をもった人たちと繋がることができるフリマアプリには、中古品の売買から心のつながりが生まれる可能性があるという発見がありました。」とコメントし、 田面木は「東京でやっているようなメルカリサロンというお客さま座談会やメルカリの使い方を学べる教室のような施策を全国でやっていきたい。」とコメントした。
■関連リンク
「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査:https://about.mercari.com/press/news/article/20190311_survey_over60s/
調査発表会:第1部「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査 結果報告
フリマアプリ利用で約3割が「社会とのつながりを感じる」
フリマアプリを利用している60代以上は、利用していない60代以上と比較し、平均資産額が高く、「人とのつながり」を重視し、チャレンジ意識が豊富で、社会貢献や仕事に対して意欲的である人たちであり、「インターネットやWEBサービスを使いこなしている」という意識も、20代と同程度ということが明らかになった。
今回の調査では、特にフリマアプリの利用目的・利用後の意識変化において60代特有の傾向が出た。フリマアプリの利用目的において60代以上では「お金を得る」ことに重点を置いている人が少数派であり、フリマアプリ利用後は、その傾向がさらに強まることがわかった。また、60代以上と20代のフリマアプリ利用者を比較すると、60代以上はフリマアプリの利用を通して「社会とのつながりを感じる」傾向が強く、20代との意識差は約3倍となった。「社会とのつながり」を重視する60代以上の利用者にとって、「社会とのつながり」を持つためのツールとして機能している側面がうかがえる結果となった。
第2部「フリマアプリは老後を豊かにできるのか」パネルディスカッション
フリマアプリを利用している60代以上の実態
中澤:今回の調査で、60代以上のフリマアプリ利用者は、就労意欲が高い、人とのつながりのために働き たい、チャレンジ意識が高い、ネットを使いこなしているなどが明らかになりましたが、どんな感想をお持ちですか?
前野:調査だけでは、チャレンジ意識が高く、ネットを使いこなしていると出ているが、フリマアプリの利用による因果関係はわかりませんでした。しかし、今日実際に二人の利用者の方のプレゼンテーションを聞いて、フリマアプリを使うことによってチャレンジ意欲が増していると実感しました。幸福の要素は、やる気、感謝、前向き、自分らしさという4つです。お二人は、これらの要素を満たし幸福度を高めていると感じました。アメリカに住んでいる時に不要品の売買を経験しましたが、つながりを感じるようことはありませんでした。一方、メルカリの特徴なのか日本人の特徴なのかはわかりませんが、売買を通じて人と人とのつながりを大切にするような仕組みがフリマアプリで成り立っているのかもしれないと感じます。
60代以上と20代、フリマアプリ利用後の意識変化比較
中澤:60代以上のフリマアプリ利用者は「お金」を目的としているのが20代の半数以下、フリマアプリで 社会とつながりを感じているのが、20代の約3倍という結果についてはどのように感じましたか?
田面木:毎日色んな世代のお客様からの声を読んでいるので、「お金」目的ではないということについては、そこまで驚きはないです。「メルカリ」はコミュニケーションがコアにあり、同じ趣味や感情から人とのつながりが持てる点が評価されている部分があります。ただ、シニアのほうがつながり感じている点は驚きがあります。年月とともに、愛着があるモノが多いのかもしれません。そういうモノは、ちゃんと価値をわかってくれる人に持って欲しいという思いが強いのかもしれません。
フリマアプリは老後を豊かにできるのか
中澤:60代以上のフリマアプリ利用者・非利用者へ幸福度を聞いたところ、利用者は75.5%、非利用者は 69.2%という結果が出ました。挑戦的なテーマではありますが「フリマアプリは老後を豊かにできる」の でしょうか?
前野:幸福を感じるためには友人の数はもちろんのこと、その多様性が大事です。日本全国の共通の趣味や関心をもった人たちとつながれるフリマアプリは、中古品の売買から心のつながりが生まれる可能性があるということに気づかされました。モノの売買において、都市部のような単なる売買では幸福度が下がります。田舎では農業生産者の顔が見えるのでつながりを感じられるように、価格ではなく、想いのつながる売買は心を豊かにします。「メルカリ」は都会にいながらそのような想いを作っている。そういう意味で利用者の幸福度を高めるのに寄与しているという思いを強くしました。
田面木:日々リアルなお客さまの声を聞いているが、今回の調査からデータによって、フリマアプリでチャレンジ意欲や幸福度があがっている可能性もあるという点から、人と人との交流、リアルなつながりを作れるような機会づくりを推し進めていきたいと実感しました。今後も機能のアップデートなどはもちろんのこと、東京でやっているようなメルカリサロンというお客さま座談会やメルカリの使い方を学べる教室のような施策を全国でやっていきたい。また、スマートフォンを使っていない方がアプリ以外のパソコンなどでも使えるようなタッチポイントを広げていくことを考えていきたいと思います。
(文=編集部)