Amebaブログ新サービス「こえのブログ」はなぜ生まれた? 音声コンテンツで広がる“表現の可能性”を担当者に聞く

Amebaブログ新サービス「こえのブログ」がすごい

 日本最大のブログサービス「Amebaブログ」(以下、アメブロ)が1月24日、新機能「こえのブログ」をリリース。スマートフォンを通じて音声データを簡単にアップロードできるほか、高精度の音声認識によるテキスト化にも対応し、ブログの表現方法が大きく広がりそうだ。近年注目を集めるボイスコンテンツ市場への参入。アメブロに新たに追加された「こえのブログ」はなぜ生まれ、どんな広がりが期待されるか。運営元である株式会社サイバーエージェントのメディア統括本部プロデューサー、田島隼人氏に聞いた。(編集部)
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より気軽で、深い表現を生む「こえのブログ」

ーーブログにおける表現方法や発信力が大きく拡大する可能性を感じる新機能「こえのブログ」ですが、どんな経緯で開発が進んだのでしょうか?

田島隼人(以下、田島): サービス提供以来、アメブロは発信の場として多くのユーザーに利用されていますが、スマホやSNSの普及によって表現方法はどんどん多様化しています。その中で、これまでのテキストや写真、動画といった視覚的な表現だけでなく、ブログにも新たな表現方法があってもいいのではないか?とチームで議論が起こり、着目したのが「こえ」でした。

 アメブロには個人の体験をもとに、等身大の言葉でつづられているブログがたくさんあります。等身大のストーリーと感情が込められた音声を掛け合わせた発信は、より多くの人の共感や反響を呼ぶことができるのではないかと思います。また市場的に可能性を秘めているのも理由のひとつですね。音声市場技術の発達に加えて、スマートスピーカーやIoTプロダクトの本格的な普及によって、今後音声市場は急速に拡大していくと考えています。

ーー声を乗せるだけでなく、音声認識による書き起こしもあり、投稿がより手軽になるのも魅力的だと思います。

田島:そうですね。テキスト化にはGoogleのAPIを利用しているのですが、開発時にその性能を見たときに、「ここまで高精度に文字起こしができるのか!」と驚きました。書き起こされたテキストを自分好みに編集して記事にできますので、「書く」ということにハードルを感じていたユーザーにも、ブログを利用していただけるのではと考えています。また、現在は日本語と英語の2か国語のみの対応ですが、他の言語にも順次拡大していく予定です。これまでは日本語でテキストコンテンツを作ることができなかった海外の方々にも、便利に使っていただけそうです。まずは、ブログの表現方法はテキストだけではないんだ、ということを周知していきたいですね。


ーーブロガーだけでなく、読者もより気軽に楽しむことができそうですね。

田島:そうなんです。テキストコンテンツは長文になるほど、ある程度集中して、腰を据えて読む必要があります。しかし「こえのブログ」なら、通勤・通学や寝る前のちょっとした時間に、「ながら」でライトに楽しむことができる。書き手も読み手も従来よりも気軽に利用でき、かつ「声」を介してより人間味を感じられるようなやり取りができる、という体験を提供していきたいです。

ーー日記的に日々、声を吹き込む人もいれば、声を使ったスキル=歌やモノマネを披露する人、昨年来流行中のASMRに近いものも出てきそうです。どのような使い方を想定していますか?

田島:アメブロは多くの芸能人やタレントが利用しているのも大きな特徴なので、ファンへのコミュニケーションの一環として利用してもらいたいと思っています。肩肘張らずに何気ない日常の1シーンをこえのブログに乗せて投稿していただければファンの方々もきっとうれしいはずです。他にも結婚や出産、ご自身の活動などの大事な報告をするときなどファンに直接伝えたいけれど、動画にするのはハードルが高い、というときにも「こえのブログ」はちょうどいいのではないかと。想いがこもっている分、テキストよりも深く伝わるものがあると思います。またファンも声でコメントを送るなど、タレントとファンとの間でより深いコミュニケーションが生まれると思います。

ーー確かに、所属事務所のオフィシャルな発表や、広く開かれたSNSより、ブログはファンとの距離が近いイメージがあり、だからこそ「声」は効いてきそうです。

田島:そうですね。例えば、芸人さんならしゃべりのニュアンスが重要なネタやギャグも声で届けられますし、写真で一言、のような使い方も面白いと思います。また、アメブロにはママタレントの方も多いので、お子さんとのやりとりも人気コンテンツになるかもしれませんね。

 また一般の方でもこれまでのようにPCやスマホに向き合って、「時間を使って書く」というところから、通勤・通学の時間や家事の合間など、これまでとは違ったシーンでも投稿できるようになりますので、そのなかで新しいコンテンツが生まれてくることに期待しています。友人との会話をそのままブログにして発信したり、子供の成長記録として写真だけでなく声で残すというのも新しいかと思います。使っていただくなかで、自然と新しい楽しみが生まれていくと思います。

ーーさて、「ブログサービスの強み」というお話もありましたが、競合のボイス系サービスに対する優位点については、どう考えていますか?

田島:第一に、プラットフォームの規模の大きさがあります。アメブロの会員数は6200万人を超え、なおかつAmebaトピックス(アメトピ)のように、トピックとして取り上げることでコンテンツを拡散させる仕組みもあります。つまり、自分が伝えたいこと、発信したいことを聴いてくれる人がたくさんいるということです。ユーザーが多いということは、それだけ予想外の面白い使い方をしていただける可能性もありますし、反応が楽しみですね。

ーーそれでは、ツイッターやインスタグラムなど、SNSでの情報発信が当たり前になっているなかで、ブログならではの価値はどこにあるでしょうか。

田島:やはり、一個人のパーソナルな、その人しか語れない、背伸びしすぎない、ありのままを伝えられるのが強みです。アメブロでは「妊娠記録」や「子育て」、「入院・闘病生活」のようなジャンルのブログの人気が高く、個人の日々の体験がつぶさに綴られています。他のメディアでは見つけることができないような、等身大で個性的なコンテンツが多く存在するのが、ブログならではだと思います。読者の方が共感し、関心を持ったブロガーさんの人となりが、「声」によってより深く伝わることに期待しています。

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