Apple製ワイヤレス充電器「AirPower」まもなくリリース? 新しいAirPodsも登場か

 2017年にiPhone Xが発表されたとき、Apple製ワイヤレス充電器「AirPower」が開発されていることも明らかとなった。その後、同充電器は2018年の開発者会議やiPhone発表会でも言及されることなく、「お蔵入り」になることが危ぶまれていた。しかし、ついにリリースされるというリーク情報が流れた。

1月21日から製造開始?

 テック系メディア『Slash Gear』は、13日、充電器のリーク情報をツイートすることで定評のあるTwitterアカウントChargerLABがAirPowerに関してツイートしたことを報じた。12日付のそのツイートによると、信頼できるソースからAirPodsやUSB-Cケーブルを製造するメーカーLuxshare Precisionが同充電器の製造をスタートするという情報を得た、とのこと。

 同アカウントは、続けて「異なったソース」から得た情報としてApple製品の組み立てを行っているメーカーPegatronが、1月21日より同充電器の組み立てを開始する、ともツイートした。ふたつのツイートがどちらも正しいならば、同充電器の組み立てには複数のメーカーが関わっているということになる。

 ふたつめのツイートには、同充電器は3層構造をしており下層から上層に向かって8-7-7個のコイルが実装される、という情報も追記されている。

困難を極めたAirPower開発

 ところで、なぜAirPowerはその存在が明らかになってから1年以上経過しているにも関わらず、いまだにリリースされていないのか。Slash Gearは、この疑問に答える記事をiPhone XS/XS Maxが発表された直後の昨年9月に公開している。その記事によると、同充電器の開発には、ふたつの技術的問題が立ちはだかっていたのだ。

 ひとつめの問題は、放熱問題である。この問題は、現在流通しているワイヤレス充電器全般が抱えている問題であり、製品によっては冷却ファンを実装しているものもある。充電器内で電流が流れるコイルが複数実装されるAirPowerにおいては、放熱問題はほかの充電器より深刻なのは明らかであろう。

 ふたつめの問題は、ノイズ問題である。ワイヤレス充電器にはインバーターと呼ばれる部品が組み込まれており、このインバーターからは電磁波が発生している。この電磁波が原因となって、他の電子機器の誤作動やスマホの電波受信能力の劣化が生じることがある。当然ながら、現在販売されているワイヤレス充電器にはノイズを抑制する対策が講じられている。AirPowerにおいては、以上のノイズ問題の対策が内部機構が複雑なために難航したのだった。

 もし本当にAirPowerが近日中にリリースされるのならば、以上に説明したふたつの技術的問題が解決されたと見ることができるだろう。

2019年にリリースされるApple製品

 今年リリースされると言われているApple製品は、AirPower以外にも多数ある。そうした製品のなかには、新しいAirPodsがある。同イヤフォンの最新動向に関しては、昨年12月にApple製品専門ニュースサイト『9to5Mac』が詳しく報じている。その記事は、Apple製品のリリース予測の世界的権威であるアナリストMing-Chi Kuo氏の予測を伝えている。同氏は、同イヤフォンのアップグレードモデルが2019年第1四半期にリリースされると予想している。また、アップグレードモデルはAirPowerに対応するとも述べている。

 新型iPhoneに関する噂も、すでに各メディアが報じている。そうしたメディアのひとつであるUS版Forbesが11日に公開した記事によると、例年のように今年9月にリリースされると見られる新型iPhoneは3機種であるという。具体的には、昨年リリースされたiPhone XS/XS Max、そしてiPhone XRの後継機種である。このうち、iPhone XS Max後継機種に関しては、背面カメラがiPhone XS Maxよりひとつ多い3台実装されると予想されている。また、iPhone XR後継機種には液晶ディスプレイが実装される見込みだが、液晶ディスプレイを採用するiPhoneはこの機種が最後になると言われている。つまり、2020年以降のiPhoneはすべて有機ELディスプレイを採用するようなのだ。

 2019年のAppleは引き続き「驚くほどではないが、着実に進化する」という印象を堅持するようだ。同社が世界を驚かすのは、iPhone接続型ARメガネをリリースすると言われている2020年かも知れない。

トップ画像出典:Slash Gear記事「Apple AirPower charging pad may finally be launching soon」より画像を引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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