『NHK紅白歌合戦』の楽しさはアプリで倍増? 充実のWEBコンテンツから時代に合わせた進化を読む

 少し話がそれてしまうが、そもそも『紅白』は普通のテレビ番組とは大きく異なる性質を持っていると思う。大晦日に家族、もしくは親しい人たちだけでお茶の間に集まり、『紅白』を観ながら年を越すことは、年末の風物詩とも言える日本の伝統的な光景だ。そうは言ってもこれは筆者ならではの感覚であり、20代前半もしくはそれよりも下の世代にとってはその感覚すら希薄なのかもしれない。SNSやアプリを活用した『紅白』のネット施策の数々は、“年末にお茶の間で『紅白』を観る”という伝統を若い世代に継承するための一手とも言えるだろう。

 上記で述べた施策が浸透してきたことにより、平成最初の『紅白』と最後となる今回では、視聴者側のスタンスに大きな違いが生じている。近年、番組放送中にSNS上が盛り上がっていることからもわかるように、家族や親しい人だけではなくネットを通じて大勢の人と感情を共有しながら『紅白』を楽しむことが一般的になってきているのだ。

 “若者のテレビ離れ”が加速している現在も、老若男女問わず観られている『NHK紅白歌合戦』。“年末にお茶の間で『紅白』を観る”という伝統が今なお続いているのは、時代に合わせて形を変えているからなのかもしれない。

■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。

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