急激にIT化進むタイ・バンコク 外国人リモートワーカーが集まる理由を現地より解説
現在、筆者はタイ・バンコクに滞在中だ。この記事もバンコクのカフェで書いているのだが、周囲にもパソコンを開いて作業している日本人ノマドワーカーと思しき姿が見受けられる。筆者のようなライターから、リモート案件の多いエンジニアやデザイナーに至るまで、バンコクに拠点を置く外国人リモートワーカーの人口が、近年大幅に増加している。なぜ、バンコクはこのような外国人リモートワーカーに支持されているのか。急激にIT化しつつあるバンコクの状況を、現地よりお届けしよう。
まず、タイの通信環境について話そう。バンコクは東南アジアの中でも屈指のWi-Fi天国と言われており、バンコク市内であれば多くの商業施設でフリーWi-Fiを利用できる。もちろん、速度にもまったく問題がない。また、カフェもとても多く、Wi-Fiはもちろんのこと、電源席を完備しているような店舗も、東京と比べてかなり多い印象だ。さらに、SIMも大変安く利用できる。タイの大手通信会社・AISの場合、月額500バーツほど(約1700円)で4G/3Gが使い放題だ。
そして、東京ほどではないものの、コワーキングスペースも比較的充実している。たとえば、日本人も多く集まるプロンポンエリアのコワーキングスペース「AIS D.C.」は、なんと1日利用150バーツ(約500円)、年間利用1200バーツ(約4200円)と、日本人の感覚からすれば破格すぎる価格設定だ。東京のコワーキングスペースは、安くても月会費7000円程度なので、バンコクでは東京の20分の1程度のコストでコワーキングスペースを利用できるということになる。
このように、まずハード面で見ても、バンコクはリモートワーカーにとって大変ありがたい環境が整えられている、というわけだ。タイの物価は全体的に日本よりも低いので、その点だけでもかなり魅力的だというのに、それに加えて快適な通信・作業環境も整備されているのだから、申し分ない。
また、2018年2月より、タイ国外からの高度人材誘致を促す「スマートビザ」もスタートした。これは、「デジタル」「農業・バイオテクノロジー」「自動化機械・ロボット」といった10の産業の専門家や投資家、起業家などに対し、最長4年間のビザを発行するというもの。ビザ取得条件は「月給20万バーツ(約70万円)以上」など、一般的な労働者からすれば正直ハードルが高めではあるものの、タイが国をあげて海外からの人材受け入れに積極的であることがわかるだろう(参考:Thailand’s SMART Visa Program)。スマートビザの取得が困難であっても、日本人であれば観光ビザで最長連続3ヶ月の滞在が可能かつ、入国審査も比較的スムーズだ。そのため、ビザや入国審査に厳しい欧米諸国と比較しても、タイは中長期滞在を視野に入れたリモートワーカーが訪れやすい国だといえる。