『プレステクラシック』のラインナップは、なぜしっくりこないのか?
プレステクラシックのラインナップがしっくり来ない理由
これまでの論旨はこうだ。プレイステーションにカルトゲームと呼ばれるような個性的な作品が集中したのには、大きく分けて2つの理由がある。
・90年代後半の時代の空気が、サブカルチャー全体に大きな影響を与えていた
・サードパーティーの参入障壁が低く、小規模のデペロッパーが参入する余地があった
このような要件がカルトゲームを生み出す土壌となり、数々の名(迷)作が誕生した。以上、プレイステーションの歴史と背景について触れたところで、今回のPSクラシックのラインナップをもう一度思い返してほしい。
『ファイナルファンタジーVII』や『アーク・ザ・ラッド』、『バイオハザード』など『プレイステーション』を代表するようなゲームは収録されているものの、90年代のあのアングラ感を強く匂わせるようなタイトルはほとんど収録されていない。
『プレステクラシック』はあくまでも『プレイステーション』の表の顔にしか過ぎない。『プレイステーション』にはカルトゲームの宝庫という、もうひとつの顔がある。今回のラインナップに「これじゃない」感を抱いている方がいるとすれば、それは一枚岩ではない『プレイステーション』のある一面しか捉えていないところに原因があるのではないだろうか。
そういう意味で『プレステクラシック』は、『プレイステーション』から90年代の匂いをすっかり「脱臭」してしまったハードともいえる。あの匂いをもう一度味わうには、押し入れの奥からPSを引っ張り出してくるしかなさそうだ。
参考文献・リンク先
・『現代ゲーム全史』(中川大地著・早川書房)
・『僕たちのゲーム史』(さやわか著・星海社)
・電ファミニコゲーマー 「久夛良木が面白かったからやってただけ」 プレイステーションの立役者に訊くその誕生秘話【丸山茂雄×川上量生】
■脳間 寺院(のうま・じいん)
京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクはだいたい友達。「ゲームをもっと面白く」をモットーに記事を書くゲームライター。Twitterにてゲームにまつわる情報を発信中。
Twitter:@noomagame