“人の心を動かすAI”はいかにして生まれるかーー寿美菜子も登場したソニー「AI MEETUP 2」イベントレポ:後編

人はAIに愛を囁く

 QuUnのデモが終わると、ソニーが昨年1年掛けてAIに取り組んだ知見のまとめが行われ、井上氏は続けて語った。

「罵倒少女とユーザの間で行われた会話・734万件の統計を取ると、ユーザの会話の上位には常に『愛している』『好き』などの言葉が頻出しました。去年我々が学んだことは、『人はAIに愛を囁いてしまう』ということです。本来、人がAIに話しかける際には抵抗が生まれるもので、多くの動機が必要です。しかし、その抵抗を一気に解決してくれるのが『キャラクター』であり、『好きなキャラクターと話したい!』という気持ちはとても強い動機になります。AIにとって、キャラクターは最強のUI(ユーザインターフェイス)です」

 また、このまとめに連なって、結束氏から新しい技術の紹介が行われた。

「ユーザの『意図』を認識することに注視してきた『PROJECT Samantha』ですが、次のアプローチは『欲求』を認識できるAIです。人の言葉の『文脈』を把握し、適切に応答できるAIで、知恵の神様の名前をとって『OMOHIKANE(オモイカネ)』と名付けました」

 OMOHIKANEは入力した文章の内容を分解し、文章の構成を推定してその周辺情報を理解し、入力文を適切に判断して応答する。実際の人間の挙動を模したプログラムであり、『記憶』を保持して対話を行えるという。

 OMOHIKANEは2018年11月より、PROJECT Samanthaの企画として順次サービスをローンチする予定だ。井上氏は「引き続きこの新しいシステムと、我々が培ってきたエンタメスピリットを合わせて、面白いものを作っていきたいと思っています」とまとめた。

 ソニーグループが注力する「合成音声」「会話AI」「キャラクタービジネス」の最新情報をいずれも深く知ることのできるセミナーだった。特に合成音声テクノロジーについては、声のプロである声優・寿氏のエピソードも交えて語られることで、ぐっとわかりやすく身近に感じることができた。いずれのテクノロジーについても、今後も注視し、新たな動きがあったら順次レポートしたい。

■白石 倖介 
コンピュータ専門誌の編集者を経て、フリーライターとして活動中。Mac・iOSに詳しい。写真も撮る。主にTwitterにいます。TwitterBlog

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