『東京ゲームショウ2018』専門学校生たちのアイデアがすごい! 明日のゲーム業界を担う才能が続々

大学の研究室に設置していたのを、一度分解して会場に持ち込んだとのこと。

 VRといえば印象的だったのが長野大学のVRシステム。コクピットに座ってロボットの操縦を体験できる……という内容だったのだが、注目すべきはコクピット自体の作り。鋼管で組んだフレームに座席が取り付けられ、左右に操縦用のコンソールがあるという構成はロボットのコクピットっぽいな……という感じだが、なんとその前にワンボックスカーの後部ドアがくっついているのである。「あのドアってなんですか?」と聞いたところ、「やっぱりロボットの操縦席だから乗り込み用のハッチがついてないと盛り上がらないなと思いまして……。ロマンです。ロマンのためについてます」という答え。近所の中古車ショップから格安で譲ってもらった部品らしく、ドアの正面にはその店のステッカーが。ちゃんとスポンサーにも配慮されている……!

 こういった学生ゲーが大量に展示されているなか、完成度で言えばちょっと頭一つ抜けている印象だったのが日本工学院専門学校の『うつしき』。マップを斜め上の視点から見た3Dのアクションゲームで、重要なのがプレイヤーが四季を操作できるという点だ。コントローラー左右のトリガーボタンを使って春夏秋冬の順番に季節を進めたり戻したりすることができ、これを使ってスタートからゴールまでたどり着くのが目標。季節を冬にすれば水面を凍らせて渡ることができるし、夏にすれば木を成長させて登ることができるし、秋になればキノコが育つのでそれを足場やパラシュートのように使ってマップ内を移動できる……という感じで、それぞれの季節の特徴を活かすのが攻略のカギになっている。ビジュアル面もよく練られており、「これ、マップの数をもうちょっと足せばそのまま発売できるんじゃないの……」という気持ちに。ていうかこれ、プロが遊びで作ったとかじゃないですよね? 本当に学生さんが作ったんだよね……?

四季を移すから『うつしき』。タイトルも秀逸だ。

 という感じで、どのブースも工夫がパンパンに詰まっていて見応え抜群。どのゲームも少人数かつ小規模に作られているので、一発アイデアを思いついてからそれをどうやって形にしていったかがなんとなく見えやすいというのも発見だった。「四季を入れ替えてステージを進む」「シューティングゲームをターン制にする」みたいな思いつきにどのようなビジュアルを乗せ、どういう操作方法でプレイヤーに体験させるかという点を追体験できるのは、トリプルAタイトルではなかなか味わえない面白さだろう。

 明日のゲーム業界を担う才能がドカドカ見られるゲームスクールコーナーは、充分にゲームショウの見所のひとつと言っていいだろう。変わったアイデアとそれを具現化する努力に触れるため、ぜひ来年もこのコーナーには注目したい。

■しげる
ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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