月9『絶対零度』“ミハンシステム”は実在する? 世界的なAI捜査の実態を専門家に聞いてみた

 一方の日本では、AI捜査はまだ始まったばかりだと梶田氏は話す。

「いつ、どこで犯罪が起きそうかという犯罪予測システムに関しては、2016年10月に京都府警が導入したのが、日本では最初の例です。今年の7月中旬からは、神奈川県警も人工知能を使った犯罪予測システムの実用可能性について調査研究を開始しています」

 神奈川県警は、2020年の東京五輪・パラリンピック開幕までの試験運用を目指しているという(参考:犯罪発生 AIで予測 神奈川県警が全国初 東京五輪までの運用目指す )。最後に、月9という注目度の高いドラマ枠で、AI捜査が取り扱われること、そして今後の犯罪予測の世界的な発展について聞いた。

「テーマとしては興味を持っていただける機会として素晴らしいと思っています。ただ、AI捜査ということに関しては特にアメリカの場合がそうですが、人種差別やプライバシーなどについて、いかにきちんと考慮しながら捜査をしてくか、ということがデリケートな問題になっています。そういった点の描き方が、誤解を生まない形になっているのかが大事なところだと思います。海外では、AI捜査の導入が進んでいるので、今後もその流れは変わらないと思うのですが、日本については犯罪予測が有益な結果を出すのかどうかを実際に実験し始めた段階なので、その結果次第といったところです」

 ドラマ内では、過去に家族を殺された東堂(伊藤淳史)と田村(平田満)がミハンチームを立ち上げ、井沢(沢村一樹)をリーダーに、危険人物に対して潜入捜査を試みていく。しかし、そのような捜査は違法捜査とされ、表向きは総務部・資料課として秘密裏な存在だ。マイナンバーカード、スマートフォンでの顔認証、SNS、ネットショッピングなど、様々な場面で個人情報が扱われる一方で、プライバシー問題は難しくなっていくばかり。ミハンチームのような大胆なAI捜査は現実的には難しそうだが、日本でも少しずつAI捜査は発展しているようだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:沢村一樹、横山裕、本田翼、柄本時生、平田満、伊藤淳史、上戸彩(特別出演)
企画:稲葉直人
プロデューサー:永井麗子(共同テレビ)
脚本:浜田秀哉
演出:佐藤祐市
制作:フジテレビ、共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/zettaireido/

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