LDH、吉本興業、アミューズ……SNS影響力の高い芸能事務所とその施策を読む
Twitter、Instagram、Facebook……タレントやアーティストにとって、自らを広く知ってもらい、ファンと交流する場の一つとして、SNSは今や欠かせないものになっている。『日経エンタテインメント!』2018年7月号では、「SNSタレントパワーランキング」を発表。同ランキングには渡辺直美(Instagram)や香川真司(Facebook)、有吉弘行(Twitter)、稲垣吾郎(アメブロ)と、芸人からスポーツ選手まで、多様な著名人の名前が並んでいた。多くのフォロワーを獲得しているアカウントはどれも写真や文章に工夫を凝らし、こまめに更新している。これはもちろん、個々の努力や意識によるものが大きいが、SNS上で目立ったタレントやアーティストの共通点を探ると、SNS施策を強化している事務所やレーベルの存在も感じる。
例えば、先述した渡辺直美に加え、松本人志、岡村隆史などTwitterやInstagramでも人気の芸人を擁する吉本興業。渡辺直美のInstagramのフォロワー数は800万人を越え、芸人仲間の友近や徳井義実だけでなく、星野源、香取慎吾、さらには現在世界的な人気を博しているR&BアーティストのSZAまで、国内外の様々な著名人が登場。ファッション誌の1ページのようにカラフルな写真も多く、BTS(防弾少年団)らとともに『TIME』誌の「ネット上で最も影響力ある25人」にも選出されたのも納得だ。まさしく“インフルエンサー”である。
一方、Twitterでの発言力が強いのが松本人志だ。「なれるなら笑いの神より鬼が良いよなぁ~」など、松本だからこそ説得力のあるツイートも目立ち、更新頻度は高くないものの、ツイートするたびに5000RTを軽々と超えている。吉本興業は2017年、そんなよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属芸人を活用したインフルエンサー・マーケティングも発表し、「本気でSNS市場をとりにいくことが必然と考えています」とコメントしていた(参考:アドタイ/吉本興業がインフルエンサーマーケティング事業を開始「本気でSNS市場をとりにいく」)。
また、DEAN FUJIOKAやONE OK ROCK、Perfume、星野源などが所属するアミューズ、菅田将暉や新田真剣佑など人気俳優が属するトップコートもランキングで目立っていた。アミューズは各アーティストの他に“キャラ部”が運営する公式Twitterのほか、キャラクター・ミミーによるTwitterも。過去にはミミーグッズも作られたことがあり、所属俳優やアーティストがミミーと写真を撮る機会も多いため、多くの人に親しまれている存在だ。一方トップコートは公式Twitterで「共通のお題で各々、自由に写真や動画で表現していくエトセトラな活動=#エト部活」などの企画を実施。同アカウント限定のオフショットを掲載している。
さらに注目したいのは、「SNSタレントパワーランキング」Instagramの平均リアクション数ランキング100位以内に23人、同ランキングのTwitter部門に14人もの所属アーティストがランクインしていたLDHだ。例えばInstagramでは岩田剛典(EXILE/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)や登坂広臣(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が活躍(Instagram平均リアクション数ランキングにランクイン)。岩田はライブ中のクールな写真に加え、三代目JSBメンバーと自撮り(山下健二郎の“変顔”も!)したり、ドラマ『崖っぷちホテル』のキャストとご飯を食べている様子など、素顔が見えるような写真をアップしている。また、登坂はお洒落なパーカー姿を、片寄はメンバーの小森隼のオフショットや自身がひょっこりはんを真似た姿などを投稿。そして白濱は自慢の筋肉を惜しまず披露している。それぞれInstagramらしい写真を投稿することで、若い世代を中心としたファン層にしっかりとリーチしているようだ。
一方でTwitterでは“愛されキャラ”な小森や俳優としても活躍する佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、絵文字を多用した投稿も人気のCRAZYBOYことELLY(三代目 J Soul Brothers)が目立つ存在に。小森はパフォーマンス時の印象とは異なるお茶目な自撮りや、メンバーと“組体操”をするようにふざけあっている写真を、佐野は共演した俳優とのレアなオフショットをアップするなどし、人気を博している。一方CRAZYBOYは「🌞天気最高✨僕の目覚ましアラーム🌞✨」と自身の楽曲を紹介。見た目とはギャップのある可愛らしい独自の文体が見られ、グループのファン以外からも多くのフォロワーを獲得している。
また、FacebookではEXILE ATSUSHIがこまめな更新が功を奏し、平均リアクション数ランキングで第5位に。また三代目JSBのグループ公式ページではメンバーの誕生日を祝うなどし、第3位にそれぞれランクインしていた。ATSUSHIは先日、Instagramでのフォロワーとの交流も話題を呼んだが(参考:EXILE ATSUSHI、海外留学中の活動から伝わる“人柄” Instagram通じたファンとの交流も)、Facebookを通じてEXILE結成当初からのファンにもしっかりと存在感をアピールしているようだ。三代目JSBもFacebookでは、メンバーが活用するInstagramだけではリーチできない層に向けて投稿している印象だ。