ピコ太郎、10代に人気のTikTok「#だれでもダンス」で再ブームなるか?

 2016年8月25日にYouTube上で発表した『PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)』から約2年、世界的にブレイクを果たしたピコ太郎が、この度、10代に絶大な人気を誇る動画アプリ・TikTokで一大ブームとなっている「#だれでもダンス」に参加したことで、再び注目を集めている。(参考:https://v16.tiktokv.com/djkYT/)

 TikTokは、短い動画を撮影し、多様なフィルターや効果で好きな音楽に合わせて編集して、約15秒のオリジナルショートムービーとして共有できる、リップシンクアプリの代表的サービスだ。TikTokが若者に支持されるのには、いくつか理由がある。

 ひとつは、10代の若者が自分たちのコミュニティの中で楽しめるサービス設計だ。TwitterやFacebookは多くのユーザーがいる分、その年齢層も幅広く、同世代特有のノリが通じなかったり、思いもよらぬ批判が寄せられるなどのリスクもある。対して、動画投稿型SNSの場合は、投稿枠が若者向けにカテゴライズされているケースが多く、特有のコミュニケーションが発展するように設計されている。例えば、動画投稿型SNSの走りであるMixChannel(ミクチャ)は、「LOVE」「ツインズ」「おもしろ」「顔出し」「うた」などのカテゴリーに分けられ、中でも人気の高い「LOVE」はカップル動画が数多く投稿されるという、大人が入りづらいムードが形成されていたため、若者たちが自分たちの文化や流行を醸成する場になっていった。

 また、YouTubeやニコニコ動画に比べて、10秒という短い時間の動画に限定していたのも、参加へのハードルを低くしていた。専門的な動画編集の技術や知識が無くとも、気軽に映像制作ができるのは、若年層にとって大きなメリットだ。ミクチャは2016年頃、当時中学生だった「ねお」(現在はPopteen専属モデルやYouTuberとしても活躍)を中心に、同世代の女の子たちが「リップシンク」という、流れる音楽に合わせて口パクをして歌ってるように見せる動画が話題となったことで、女子高生を中心にブームを巻き起こした。

 その流れを受け、リップシンク動画に特化したのがTikTokである。TikTokは自分の好きな曲で、誰でもMVのような映像を簡単に作れ、簡単にシェアできるお手軽さが人気の秘訣だ。ミクチャの場合は、いわゆる「パリピ」のような目立つタイプの投稿者が多かったが、TikTokの場合は作品のクオリティも重視されるため、クリエイティブ気質の投稿者も増えている。また、15秒という基本的なCMの尺と同じ長さも、SNS上で飽きずに見られる丁度良いタイム感である。さらに、有名無名に関係なく、動画に合う楽曲をチョイスするのがポイントのため、かつてのiPodのCMのように、若者がオシャレな洋楽などに触れるきっかけにもなっている。

 2017年夏にTikTokが登場して以来、最も人気となったキャンペーンが「#いいアゴのってんね」だ。1人が手のひらを出し、もう1人がその手のひらにアゴを乗せるという可愛い動画で、木下優樹菜、岡田奈々(AKB48)、宮脇咲良(HKT48)といった様々な芸能人やインフルエンサーが参加して話題となり、世間に広まって行った。一時、Twitter上で中高生たちが「かめはめ波」や「マカンコウサッポウ」のポーズを取る画像が流行ったが、「#いいアゴのってんね」もまた、誰もが気軽に真似することができて、しかもそれなりに面白いのがポイントだ。

 そして現在、「#いいアゴのってんね」を上回る勢いで人気となっているのが「#だれでもダンス」である。原曲はDJ Red Coreによる「Kiat Jud Dai」で、リズムに合わせてこぶしを突き出す動きが基本となる。ダンスが苦手でもアレンジがしやすく、何をしてもそれなりの絵になるのも人気の理由だろう。

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