仮想空間でのアバター交流は普及する? VRコミュニケーションの最前線に迫る

 VR世界でのコミュニケーションは、多くの漫画やアニメ、映画で登場しているが、まだまだ実際にVR空間内でコミュニケーションをしている人は少数派である。本稿では、理想とされているVRコミュニケーションと現時点のVRコミュニケーションに、なぜここまでギャップが生まれているのか分析してみたい。

 まずは、理想とされるVRコミュニケーションに必要な要素として、「VR空間内に、自分そっくり(もしくは、自分の理想とする)アバターがあること」、「VR空間内のユーザーの動きをトラッキングし、現実空間の動きが完全にシンクロすること」、「「VR空間内での相手の動きや環境の変化が、現実空間にフィードバックされること」という3点を仮定する。

 各VRコミュニケーションサービスごとに、この3点についてどう対応しているのか比較してみよう。

Oculus Avatar

アバター:テンプレート型
トラッキング:ヘッドセットとOculusTouch
フィードバック:無し

 映画では主人公そっくりのアバターが生成されることが多いが、2018年現在ではテンプレートを元に自分の好きなパターンを組み合わせる方式が主流である。最近、最も多くの人が体験したことのあるパターン型アバターは、Oculus Avatarだろう。

 Oculus Avatarとは、Oculus Rift初期設定時に登録する、半透明のアバターのことである。性別、髪型、髭、眼鏡の種類などを細かく設定できるが、やはり既製品の組み合わせなので、多種多様な人間の特徴を捉えることは難しい。また、なぜか半透明なのでどうしても幽霊のように見えてしまい、親近感よりも不気味さの方が際立ってしまう。とはいえ、Oculus本社はいつも自慢気にAvatarシステムを強くプッシュプレゼンしているので、アメリカではこのデザインは普通なのかもしれない。(Oculus Avatarについてのプレゼンテーションでは、VR内でのアバターの重要性について大変詳しく解説されている)

Oculus Avatars: Maximizing Social Presence

 OculusAvatarの場合、ユーザーと連動するのは顔と両手のみなので、体や足は追随しない(もしくは、アプリ側で自動生成する)。そして、VR空間から物理空間へのフィードバックもない。

cluster.

アバター:ユーザー投稿型(単一アバターから進化)
トラッキング:基本はRift/Viveの基本機能。一部モーションキャプチャー対応
フィードバック:無し

 Virtual Meet-up Platformとしてサービスを開始したcluster.は、当初は単一アバターのみでサービスを開始していた。しかし、昨今のバーチャルユーチューバー(VirtuarYoutuber)ブームに対応し、ユーザーが独自のアバターを登録できるようになったことで一段と注目度を上げた。ちなみに、去年までのcluster.は、単一アバターの顔にアイコン写真が埋め込まれるという割り切った仕様だった。

cluster. – Virtual Meet-up Platform (Demo Trailer #1)

 2018年4月に行われたアップデートテストイベントでは、バーチャルユーチューバーのプレゼンテーションを眺めている他人のアバターをVR空間で見る、という斬新な体験をした人も多かった。また、他人のアバターが邪魔でツイッターのタイムラインが読めないといったソ―シャルVRならではの不便さも、イベントの臨場感醸成に役立っている。

 YouTubeのサムネイルなので平面的に見えているが、VR空間内のユーザーは自由自在に周囲を見渡せる。

 cluser.が他のVRコミュニケーションサービスと大きく差別化されたのは、やはりモーショントラッキングへの部分的な対応である。バーチャルユーチューバーのモーションキャプチャー方式は一般には公開されていないが、PERCEPTION NEURONなどの全身をキャプチャーするスーツ方式が主流と予想されている。現在は一着20万前後と個人が趣味で買うには敷居が高いが、やがて量産が進み低価格化していくと、ますます多くのモーションキャプチャー対応VRコミュニケーションサービスも増えていくことが予想される。モーションキャプチャーに対応することで、顔と手の位置以外は全部自動生成の他のサービスとは段違いの精度でのコミュニケーションが可能になる。

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