タカラトミーの合体変形ロボ、なぜ大人を虜に? 3DモデリングとSNSでオタクライフに変化

タカラトミーが大人まで虜にする理由

 さらに、3Dプリンターという新兵器を投入している中年男性もいる。一例を挙げると、ダイアクロン隊員用の座席がある。『ダイアクロン』は1インチ大のフィギュアをビークルに乗せて遊ぶオモチャなので、当然コクピットがついている他のオモチャにも乗せたくなる。しかし当然ながら、全部のオモチャがこのサイズのフィギュアに対応しているわけではない。なので、汎用の「ダイアクロン隊員用座席」を3Dモデリングで作成、ありとあらゆるコクピットにはめ込んでダイアクロン隊員を搭乗させて遊ぶのだ。幼児の発想と中年の技術力の合わせ技である。

 さらに、メーカーが発売していない追加パーツを3Dプリンターで作ってしまう中年男性も現れた。前述のように『ダイアクロン』には共通のジョイント部が設けられているので、その径に合わせて取り付けられる増加装甲やらジェットエンジンやらミサイルポッドやらを自作することができるのだ。これにも3Dプリンターを使うことで、高精度かつ楽に組み立てられるパーツを量産できる。そして作った新規部品を取り付けたオモチャの画像をSNSにアップしてすぐ自慢。3DモデリングとSNSは、オモチャを買う中年男性たちのオタクライフを確実に変化させつつある。

 もちろん、ここで取り上げた中年男性の生態は氷山の一角。「バンダイ製キャラクタートイとニチアサ系文脈」とか「クソ玩具愛好趣味」とか「近年のアメコミ映画と海外製トイの現状」とか「SNSの普及に従って重みが増した"オモチャの写真を撮る"遊び」とか、まだまだいろんな中年がいる。ただ、デジタルとネットが、"合体変形するロボットのオモチャ"という古典的なコンテンツの楽しみ方を変化させつつあるのは間違いないのである。

※メイン写真は、おもちゃショーでのパワードスーツ展示。大きくなったらこのくらいの遊びができる家に住みたい

■しげる
ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

※編注:記事初出時に玩具メーカーの数について、誤解を招く表現がありました。訂正してお詫びいたします。

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