動画で振り返るユニークすぎるロボットたち 「ボストン・ダイナミクス」とはどんな企業なのか?
バック宙可能な「Atlas」への進化
ヒト型ロボットの開発は、先述した「BigDog」と同時期の2009年に始められている。ロボットの名前は「PETMAN」。YouTubeには下半身のみの歩行トレーニングの様子が投稿されている。
2011年、「PETMAN」は第2の進化を遂げる。筐体に上半身が付与され、より人間らしさが増しているのがわかるだろう。
それから2年後の2013年に、早くも第3の進化を迎え、遠目には人間にしか見えないレベルへ到達した。
そして2016年、導線の檻から解き放たれたロボットは「Atlas」と名前を変え、森を自由に動き回るようになる。「冬の森」と「ヒト型ロボット」のコントラストが極めてシュールに映るだろう。
そして2017年末、冒頭の「バック宙」ができるまでに進化を遂げた。今までヒト型ロボットと言えば「歩く」ことと「話す」ができれば、「すごい」と驚嘆されていた世界。ボストン・ダイナミクス社はそんなロボットの常識を一気にひっくり返す発明を成し遂げた。次なる段階としては「手」を獲得することで、より繊細な労働作業を可能にするための開発がなされていくのではないだろうか。
「AIの出力装置」として、あるいは「人と人とのコミュニケーンを繋げるハブ」として。止むなき進化を続けるロボットは、社会においてますますその存在感を高めていくだろう。ボストン・ダイナミクスが発表し続けるユニークなロボットたちは、写し鏡としてそんな未来像を垣間見せてくれる。
◾️半蔵 門太郎
長野県佐久市出身。千葉大学では文化人類学を専攻。テクノロジーやインターネットの影響で様々な「境界」がなくなっていく動きに関心を持つ。
Twitter:@hanzomontaro