渋谷再開発で「ビットバレー」はどう復興するか? 東急電鉄担当者に聞く

渋谷再開発で「ビットバレー」はどう復興するか? 東急電鉄担当者に聞く

「ビットバレー」の復権に向けて 

――先ほどのお話にもありましたが、再開発の大きなテーマの一つとして「イノベーター、クリエイティブワーカーが集う都市」というものがあり、いわばビットバレーの復権に向けての施策もとられると思います。その点はいかがでしょうか。

亀田:まず、オフィス不足の解消については、今回の再開発でオフィススペースが約27万平米増えます。渋谷は空室率が23区でもっとも低く、Googleさんもセルリアンタワーで日本での事業を開始したのですが、急成長されて床面積が足りなくなったことで六本木にオフィスを移し、今回の再開発で渋谷に戻ってきてくれました。特にITの分野は昔だと信じられないほどのペースで成長していきますし、そうした企業が渋谷を卒業していく、というのは弊社としても残念なので、ワーキングスペースはしっかり確保していきたいと考えています。また、TechCrunch Tokyoもひとつの例ですが、こうしたイノベーティブなテーマのイベントにも協賛し、テクノロジーとクリエイティブの街としての渋谷の個性を強める、という取り組みはさまざまに行っていく予定です。

渋谷ストリーム・オフィスロビーイメージ 提供:東京急行電鉄株式会社

――渋谷にオフィスを構える企業は、横のつながりも大きいですね。

亀田:そうなんです。私も『PLAY SHIBUYA』という渋谷で働く魅力を紹介する冊子を作っていて、渋谷キャスト内にオフィスを構えるベイクルーズさん、渋谷ヒカリエにオフィスを構えるディー・エヌ・エーさん、同じく渋谷ヒカリエのコワーキングスペース・MOVの運営をされているコクヨさんの対談をセッティングしたり、GMOインターネットさんや、キユーピーさんなどにご登場いただいたりするなかで、みなさんが「多様性があり、横のつながりで新しいものが生まれるのが、渋谷の大きな魅力だ」という趣旨のことをおっしゃっていて。またデンソーさんや朝日新聞さんなど、渋谷をオープンイノベーションの拠点にする企業さんも増えています。最近では、パナソニックさんが渋谷川沿いに、創業100周年事業として「100BANCH」というラボを作り、若手プロジェクトチームを支援する活動を始められたり。当社は、渋谷で活躍したい、事業を花開かせたい、という需要がある限り、それが可能になる場や機会を作っていきたいと考えています。

 「ビットバレー」と言うと、シリコンバレー的なテクノロジー産業の集積地というイメージだと思いますが、おそらくこれから生まれてくる渋谷ビットバレー的なものは、いわゆるIT系と呼ばれる企業だけでなく、アパレル系だったり、エンタテイメント関係だったり、さまざまな業界がクロスオーバーするようなものになっていくと思います。

 いずれにしても、スタートアップが花開く場所としての渋谷という土地をさらに強化しながら、エコシステムというか、渋谷のなかでステップアップしていくことを可能にしたいですね。例えば、桜丘町、道玄坂の小さなオフィスで始まった事業が、いずれ渋谷ヒカリエなどの大規模な施設に入り、また新しいベンチャーが渋谷で生まれる。そういうサイクルが理想で、当社も「東急アクセラレートプログラム」としてスタートアップとの事業共創に取り組んでいます。

時代の変化を見極め、柔軟な再開発を

――SNSの時代になり、都市とテクノロジーというのはかつてない関係になっていて、これからどう進展していくのか、という予測も難しくなっているのではないでしょうか。

亀田:確かに10年後、20年後を見越して計画をしていかなければ、というプレッシャーは大きいですね(笑)。東京メトロ副都心線と東急東横線の相互直通運転が始まり、東横線の渋谷駅が地下化したことで、再開発の機運が高まった2002年を起点と考えれば、そこからも時代は大きく変わっており、柔軟に対応できるよう、再開発を進めてきましたので、今後も時代の変化はしっかり見ていきたいと考えています。

――長期計画で再開発を進めるなかで、2020年の東京五輪が決まり、いったんのゴールが設定されてしまった感もあります。この点についてはいかがですか?

亀田:2020年に海外の方が多く訪れ、世界的にも渋谷が注目されるというのは間違いありません。それまでに、外国人の方が快適に過ごせるようにインフラを整えていくことは、必ずしないといけないことですね。もちろん、これはもともと計画していたことでもあり、一時の盛り上がりで終わるものではありません。オリンピックで注目を集めて、その後は落ち着いてしまう、ということではなく、渋谷はもともとBtoCに強い街なので、より多くの人が集まる街にしていきたいという考えです。

――企業のつながりあり、自然と人が集まる魅力もあり、あらためて渋谷は不思議な街だと思います。歴史は古いですが、最近のセンター街を見ても、フレッシュなイメージは引き継がれていますね。

亀田:そうですね。年齢ではなく、来る人の気持ちが若いのだと思います。挑戦を許容する雰囲気がありますし、だからこそ、最先端の企業が渋谷に集まっているのではないかと思うんです。

 よく言われるのが、「渋谷はオフィスから一歩外に出れば、マーケティングができる唯一の街だ」と。

 渋谷ヒカリエを抜けて青山の方に行けば、大人っぽい女性が多いし、原宿方面に行けば若い人が多いし、円山町を一歩抜ければ松濤、日本屈指の高級住宅街。どんな人にもそれぞれの居場所があり、だからこそ人が集まってくる。やはりこのダイバーシティが渋谷の魅力なので、活かしていきたいですね。

(取材=麦倉正樹/構成=編集部/写真=三橋優美子)

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