『VIVANT』チンギスが見せた“漢”の真骨頂 絶体絶命の別班を救った“英雄”の帰還
10月18日に放送された『VIVANT』(TBS系)第21話では、絶体絶命のピンチに英雄が駆けつけた。
シンシーに拘束された別班員を救出し、ゴルバドから出国しようと急ぐ乃木(堺雅人)たち。追っ手が迫る中、帰路に爆弾を仕掛けて追跡を防ごうとするが、敵をせん滅するには至らず、かろうじて最後の一発で相手方の車両を爆破。オートバイで追撃するリー(木幡竜)に対して、殉死した和田(平山祐介)の復讐を果たしたものの、すでにシンシー本部には別班員の奪還が報告されていた。
脱出劇は面白い。この社会は裏切り者と脱走者に厳しい。逃れられず敵の手中に陥れば悲惨な運命が待っている。だからこそ逃走する側は死力を尽くして逃げるしかない。
事前の計画によると、オルコ村からの一本道をひた走り、追撃の手を振りきって向かうのはガラマン空港で、そこにチョッキー(オーム・タナパック)のプライベートジェットが待機している。ただし、その手前の都市サンベで大規模な検問が実施されており、奪還チームが正体を見破られずに突破することは困難を極める。第21話は、いかにしてこの関門を潜り抜けるかが焦点になった。
ここまでの作戦では“ブルーウォーカー”こと太田梨歩(花岡すみれ)が大活躍しており、シンシーを相手に情報戦で無双状態である。報酬と身分保障、ハッキングへの関与を帳消しにする条件で別班に協力するブルーウォーカーだが、さすがに薄給すぎるのではないか。公共の仕事なので仕方ないかもしれないが、彼女がいなかったら脱出チームは壊滅していた可能性があるし、東条(濱田岳)なんてFに粛清されていただろう。ブルーウォーカー自身は黒須(松坂桃李)のためという思いかもしれない。まさに「愛は地球を救う」である。
第21話では、“別班レディ”田代(レイヤマダ)の手引きもあり、脱出チームは変装して別人のIDを与えられ、中国人労働者として検問を突破するはずだったのが、絶妙なタイミングでシンシー実行部隊のシュウ(リンリン)が到着。せっかくブルーウォーカーが手配書を書き換えたのに、と落胆していたら、救世主が登場する流れだった。
おばあさんや一般市民を巻き込まないために、危険を冒してシュウの元に向かう乃木にノコル(二宮和也)がささやいた「好機は静かに歩いてやってくる」の意味は、チンギス(バルサラハガバ・バトボルド)の登場によって明らかになった。このメッセージは、助けがくることと「ゆっくり進め」の2つの意味があって、乃木は慎重に近づくことでチンギスに銃を構える間合いができる。全体を俯瞰し、冷静に状況をコントロールするノコルはさすがだ。
そのノコルが、プライベートジェットを離陸させるために敵の目を引きつけ、狙撃を防ぐために「俺が残る」と言ったとき、「ここは俺しかいない」と言ってその役割を引き受けたチンギス。こんなことを言うのは時代錯誤かもしれないけれど、「漢」と呼ぶにふさわしいヒロイズムに痺れた。新庄(竜星涼)のように銃弾でハチの巣にされることも覚悟したのだが、どうやら生存しているらしく、モンゴルの名優に国賓級の待遇で報いたと理解したい。
ハン(宮下今日子)は良いところがまったくなく、リュウ(堺雅人)は野崎(阿部寛)にちょっかいを出そうとし、日本を代表する俳優2人のキス未遂まで勃発した第21話。なんだかんだ言って電波障害もネットワーク遮断も“ブルーウォーカー神”の敵ではなく、チョッキーがテントの幹部であることがシンシーにバレたか微妙なところだが、乃木のキャラ変が公知の事実となりつつあるのが面白かった。なお、検問突破は第1話のバルカでの日本大使館に飛び込むシーンの再来といえる。
監禁されている野崎とドラム(富栄ドラム)はどうなるのか。まさかリュウは、ドラムに野崎との接吻を見られたくなくて麻酔銃を撃ったのか(口を近づけただけで、接吻ではないという説もある)。三角関係が示唆される中で、乃木と堺雅人のキャラが渋滞しており、劇中でも明示的に切り替えると言って人格を変えるなど、作り手もやや混乱気味に思われる。AIハヤトまで含めると、外見または中身が「乃木っぽい」人格が何人もいて、『VIVANT』とはつまるところ「乃木の乃木による乃木のためのドラマ」であるという見方も可能だ。
シュウに対して、拷問された別班員が次々と呪いの言葉を吐く場面があったが、もっとも温厚なキャラと思われた高田(市川笑三郎)が「たとえ天山の頂上に逃げ込んでも」という背筋が凍る台詞を吐いていて、相手国の人が聞いたらどう思うのだろうと余計な心配をしてしまった。おそらく高田は生き延びた4人の思いを代弁しただけで、日本を代表して言ったわけではないと善解しておこう。「別班儀礼曲」の勇壮な響きなど、エモーションをわかりやすくエンタメに回収するのは福澤克雄監督の演出回ならではである。
■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs























