アニメ『氷の城壁』『正反対な君と僕』が続々ヒット! 阿賀沢紅茶の“青春解像度”の魅力

『氷の城壁』など阿賀沢紅茶作品の魅力

 その一方で『氷の城壁』は、『正反対な君と僕』とは対照的な内容。学校生活のイヤなところや苦手な相手とのトラブルなどがしっかりとリアルに描かれているのが特徴だ。また主人公たちの恋愛もとんとん拍子には進まず、すれ違いを繰り返していくことになる。

 主人公の“こゆん”こと氷川小雪は、過去のトラウマによって心を閉ざし、他人とのあいだに距離を作るようになった高校生。幼なじみの安曇美姫や軽薄な男子の雨宮湊、穏やかでやさしい日野陽太と関わるようになり、徐々に心の壁から解き放たれていく。

 登場人物たちの心情を丁寧に掬い取っている点は『正反対な君と僕』と共通しているが、本作の場合は恋愛関係の甘酸っぱい心情というより、人間関係の悩みや葛藤といった部分が前面に押し出されている。

 小雪は他人に噂話をされたり、過去を探られたりすることに激しい拒絶感があり、フレンドリーに距離を縮めようとしてくる湊に警戒心を抱く。そしてあるときそれが爆発し、「なんで人のこと探ったりするの」「気持ちわるい」と面と向かって口にしてしまう。

 しかしその後、小雪は湊の行動を誤解していたことを知り、「たぶん私は、今までずっとこの人自身をちゃんと見ようとしたことがなかった」と深く反省する。それは他人から勝手なイメージを押し付けられることを嫌がっていた自分自身が、湊に同じことをしていた……という気付きだった。

 このエピソード以降も、作中では小雪が心を開き、成長していく姿が描かれることに。さらには、ほかの登場人物たちも“生きにくさ”を抱えており、その苦悩が丁寧に言語化されていく。

 本当はおどけた性格だが周囲の期待に応えて無理をしている美姫、他人と本気の感情で向き合えない湊、誰にでもやさしいがとある秘密を抱えている陽太……。本作に登場するキャラクターたちの内面はあまりにリアルで、SNS上のファンからは「実話のように感じる」といった声も上がっていたほどだ。

 とことん恋愛の甘酸っぱさを描く『正反対な君と僕』と、恋愛や人間関係のつらさを描く『氷の城壁』。まったく違う方向性を追求している2作品だが、日常的な描写に圧倒的なリアリティが伴っていることは共通の特徴だ。また男性目線と女性目線の両方を含んだストーリーとなっていて、性別にかかわらず共感して楽しめるという点も阿賀沢作品ならではの魅力だろう。

 『正反対な君と僕』はすでに最終回を迎えており、『氷の城壁』は10月より第2期が放送中。まだ阿賀沢作品に触れたことがない人は、今からでもその世界観を味わってほしい。

■放送情報
『氷の城壁』第2期
TBS系にて、毎週木曜23:56~放送
AT-Xにて、毎週日曜22:30~放送
Netflix、Prime Video、ディズニープラス、U-NEXTほかにて順次配信
キャスト:永瀬アンナ(氷川小雪役)、和泉風花(安曇美姫役)、千葉翔也(雨宮湊役)、猪股慧士(日野陽太役)、新福桜(霜島月子役)、小林千晃(五十嵐翼役)、鬼頭明里(栗木桃香役)、波多野翔(安曇優希役)、川井田夏海(熱川秋音役)
原作:阿賀沢紅茶(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:まんきゅう
助監督:石井 輝
シリーズ構成:中西やすひろ
キャラクターデザイン:荻野美希
サブキャラクターデザイン:伊藤依織子
プロップデザイン:濵田悠示
衣装デザイン:琴乃、笛木優奈
美術監督・美術設定:前田 慎
色彩設定:のぼりはるこ
3DCGディレクター:酒寄直哉
撮影監督:渡辺実花
編集:吉武将人
劇伴:佐久間 奏、田渕夏海
劇伴制作:日音
音響監督:吉田光平
原作協力:マーガレット編集部
チーフアニメーションプロデューサー:柴 宏和
アニメーションプロデューサー:伊藤太貴
アニメーション制作:スタジオKAI
オープニングテーマ:THE BEAT GARDEN「エスコート」
エンディングテーマ:Superfly「花蔭」
©阿賀沢紅茶/集英社・TVアニメ「氷の城壁」製作委員会
公式サイト:https://korinojoheki-pr.com
公式X(旧Twitter):@korinojoheki_pr

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる